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古谷一行の金田一耕助「人面瘡」その4

[DVD] 金田一耕助シリーズ 人面瘡

[DVD] 金田一耕助シリーズ 人面瘡
価格:2,993円(税込、送料別)



 すっかり気に入って、毎日のように繰り返し見ているのだが、日本でもそんなことしてるのは俺くらいのものだろう。

 残念なのは、DVDに、メイキングなどの特典がないことだ。むう。

 さて、首を吊った状態で発見された三原じゅん子の持っていた「薬師の湯神社」と書いてあるお守りを、警官の承諾も得ずに持ち去ってしまう金田一耕助。犯罪者じゃねえか。

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 それはともかく、近くにある薬師神社に行き、いかにも撮影のためにこしらえましたという、リアリティのない祭壇で待っている、いい感じに煮詰まったおばはん巫女に、話を聞く金田一。だが、彼女の話では、そのお守りはそこで売っているものではなく、既になくなった神社の出していたものだと言う。

 つまり、「薬師神社」と「薬師の湯神社」のふたつあって、三原じゅん子も金田一も、それを混同していたのだ。そして、3億円の隠されていると睨んだ後者の神社は既に取り壊され、その神棚が、いまの薬師の湯旅館の台所に据えてあったのだ。

 要するに、3億円は、その床下に隠匿されているのではないか、と言う話。

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 まあ、その辺は原作の「人面瘡」には一切出てこない、ドラマオリジナルのサイドストーリーなので、金田一が簡単に推理してしまう。

 つまり、最初の田代殺しは、3億円を巡る仲間割れで、三原じゅん子によるもので、ほかの事件は無関係だったという、やや乱暴な図解。
 とても分かりやすいけれど、東京からの旅行者である三原じゅん子や田代のそんな写真をどうやって警察は入手したのかと言う疑問が浮かぶ。

 まあ、視聴者にとっての分かりやすさの方を重視してのことだろう。

 原作者の横溝正史の川柳に「探偵はみんな集めてさてと言い」というのがあるが、

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 当然ここでも、関係者を集めての金田一の「さて」が行われる。

 ここの一連の事件の謎解きも、かなり丁寧で、好感が持てる。

 一応本格ミステリーなので、それについては触れない。多少違うところもあるが、おおむね原作に沿った真相である。もっとも、その動機については、[旅館の将来のことしか考えてない身勝手さが透けて見えて]、いまひとつ感動的でない。原作では、真犯人は事件後に人事不省に陥り、何とか告白をしてからみまかっているから、気にならないけど、ドラマではしっかり生きて、警察に逮捕されるから、余計そう感じる。

 ま、それはともかく、殺人事件の解明のあとで、松代(斉藤由貴)が再び別人格になって、

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 その内的世界において、金田一耕助と対峙するというのが、とてもユニークな演出。
 ある種の反則技だが、ビジュアルでこれだけしっかり見せてくれれば文句も出ない。

 その人格、双子の片割れで、死産して、松代の肩に人面瘡として現れている女性・鶴代とじかに話し合う金田一。その人格は、気の弱い松代に代わって、彼女のピンチの時に出現してさまざまなことを起こしていたらしい。金田一は、松代はもうひとりで生きて行けると説得し、鶴代は成仏(?)するのだった。

 このシーン、いいんだけど、鶴代の声を、斉藤由貴ではない女優(声優)さんがあてていて、それがちょっと作り物っぽいのが惜しい。ここは斉藤由貴さんの声を加工して言わせるべきだった。

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 松代が覚醒すると、もとの宿の部屋に倒れていた。人々が見守る中、人面瘡が自然に消滅してしまうと言う、完全なオカルト演出もあるが、とにかく、松代の内面の問題も解決して、万事OKと言う結果になる。

 原作では、あくまで双子の名残である人面瘡なので、ちゃんと手術して取り除くことになる。

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 そして、晴れて松代は、若旦那・貞二(倉田てつを)と結婚し、旅館を引き継いで行くと言う明るい結末を迎えて、良かったね。

 ついでに、和菓子店の火災の際の事件は、松代が自ら記憶を取り戻し、譲治を殺したのは妹の由紀子だったこと、由紀子は松代も殺そうとしたこと、その時に、別人格の鶴代が出現し、由紀子を切り付け、松代は怖くてそのまま逃げてしまったことなどを話す。

 ここがシナリオの弱いところで、ぜんぶ松代の説明に過ぎないので、いまいち信頼性に欠ける。原作では、その一部始終を目撃していた第三者を登場させて、すっきりと証言させているので、ドラマでもそうすべきだったと思うのだが。

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 で、別れ際に、貞二から探偵の報酬を受け取る金田一。これは市川崑版でも、横溝正史シリーズでも見られるこだわりである。

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 そして、帰りの汽車を待つ間、例の3億円を探し当てて札束に埋もれる金田一の図、と言うものが出てくる。これなんか、原作の金田一耕助なら絶対見せない表情だよね。でも、古谷一行だと、それほど気にならない。

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 で、その3億円だが、警官(尾美としのり)が、仲居達にせっつかれて、台所の床を掘り起こしたものの、何も出てこないというトホホなオチがつく。

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 最後は、金田一と河合警部との他愛のないやりとり。

 これが、河合警部としての谷啓の最後の出演になった……と言いたいが、実はこのあとの2作品にもきっちり出ているのだった。

 その最後の「神隠し真珠郎」だけ、DVDになってないのだ。見たいなぁ。

 で、まとめると、やっぱり運命に翻弄される薄幸の女性を演じた斉藤由貴さんの存在感に負うところの大きい作品だった。当たり前だけど、ヒロインのキャスティングは大事だ。ちなみに2000年代の同シリーズのヒロインは、古手川祐子、坂口良子、岡田茉莉子、田中美里と言う感じになってます。これじゃ、見ようという気にならん。
 脇役も、それほど派手でもないけど、ちゃんと芝居のできる人で固められていて、こちらも満足。間違っても、山村紅葉みたいなのは出てこないので、安心。

 短編を2時間サスペンスにするため、全く別の要素(3億円探し)を併走させたのはいささか乱暴だけど、二つの事件をほどよくブレンドさせ、適宜、興味をひく謎を終盤まで視聴者に補給するシナリオ、編集が見事なので、ほとんど気にならなかった。

 無論、全体的な安っぽさとか、変なオカルトタッチの演出など、不満を言い出せばきりがない。ここは温かい気持ちで、美点だけを挙げておこう。

 もっとも、金田一マニアであり、斉藤由貴さんのにわかファンでもある管理人だからこそ楽しめたと思うので、そうじゃない人は、口車に騙されて買ったり借りたりしない方が無難ですよ。

 (追記・忘れていたが、エンディングに流れる曲、たぶん、古谷一行自身が歌う「糸電話」だと思うが、よくわからない。何故か、クレジットには主題歌については表記がないのだ)


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コメント

daily motion でみましたが、金田一が鶴代と話す場面は多分以前に一度池のところまで松代に実際についていって、鶴代に成仏するよう以前に説得したんじゃないでしょうか。心の中でのことなので実際に会った時は包丁などはなかったかもしれませんが。お寺の話とかが出てくるところはさすがに鶴代もしらないと思いますし、以前に話しているようにしか思えません。それで鶴代も成仏できたんだと思います。しかし斎藤由紀ってすごい女優や思います。これみてたら。

Re[1]:古谷一行の金田一耕助「人面瘡」その4(10/17)  

>やまちゃんさん

自分でも内容を覚えていない記事にマニアックな書き込みを頂き、思わず喉が詰まりました。
仰るように、実際にあった出来事の回想だとすれば、納得です。
この作品、終末期の古谷一行2時間シリーズの中では、奇跡的な佳作ですね。なんかまたDVDを見返したくなりました。

Re:古谷一行の金田一耕助「人面瘡」その4(10/17)  

この手の作品は登場人物が多過ぎてワケが分からなくなるのがネックですね😅(そんなん知らんがな!)作品自体は良かったですね

Re[1]:古谷一行の金田一耕助「人面瘡」その4(10/17)  

ふて猫様

画像の比率がおかしいので貼り替えたいんですけどね。

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70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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