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「怪奇大作戦」セレクション 第12話「霧の童話」

[DVD] 怪奇大作戦 DVD-BOX 上巻

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 第12話「霧の童話」(1968年12月1日)
 冒頭、鬼野村と言う山村で、ひとりの青年が落ち武者の集団に襲われて恐怖の叫び声を発する。

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 頬当てをつけた鎧武者の顔がネガポジ反転され、そこにサブタイトルが表示される。

 ちなみにその青年を演じるのは阿知波信介さん。「ウルトラセブン」のソガ隊員である。また、10話には古谷敏(アマギ隊員)、11話にはウルトラセブン(の格好をしたサンドイッチマン)と、この時期、妙に「ウルトラセブン」絡みのキャストが目立つ。この12話でも、高野浩幸(セブンの45話「円盤が来た」の少年)が出ているしね。

 青年は恐怖のあまり崖から落ちて重傷を負い、その事件は町田警部からSRIに知らされる。

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 三沢「亡霊ですって?」
 町田「うん、戦国時代の侍の亡霊らしい」
 さおり「妖怪ね! 見たいわぁ」
 素っ頓狂な声を上げるさおり。

 三沢「僕が行きます」
 牧「おい、助さん、本気かい?」

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 と言う訳で、珍しく三沢がひとりで汽車に乗り、鬼野村へ向かう。

 美しい自然の中をSLが蒸気を噴きながら走る。まさに一幅の絵である。
 音楽を山本直純氏が手掛けていることもあって、なんとなく初期の「男はつらいよ」みたいな感じだ。ま、こっちの方が先なんだけどね。

 三沢は健一(高野浩幸)と言う少年に村まで案内してもらい、すっかり仲良くなる。

 被害者に話を聞くと、呪い墓を道路にしようとしたから呪われたのだと震えていた。
 最近、高速道路建設の話が持ち上がり、また外国資本の大手自動車メーカーが村に工場を建設しようと、土地買収を進めているらしかった。

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 駐在の話によれば、400年前、織田軍に負けた落ち武者がこの村に逃げてきた。旱魃で困窮していた村人たちは彼らを殺してその鎧や馬などを奪ったと言う。それ以来、村には旱魃や洪水など、毎年のように自然災害が起き、村人は「落ち武者の祟り」だと言い習わしてきたらしい。

 村には、そんな話とは不釣合いな、自動車会社の関係者が入り込み、既に造成を始めていた。

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 無論、村人全員がその計画に賛成しているわけではなく、とりわけ年寄には反対派が多かった。
 そのひとりを、吉田義夫さんが演じている。
 「土地は売らねえ。百姓が土地を離れて、どうして生きていくんだ?」

 その孫で、推進派のリーダー的青年はなんとかして土地を売ろうとしていた。
 ちなみに健一少年は、その青年の弟であった。

 村の小学校で健一と話す三沢。
 山村と言っても、子供はたくさんいて、過疎とは程遠い賑やかさだ。
 三沢「健一君はどっちがいいかなぁ? 高速道路や自動車工場が出来る方がいいかな?」
 健一「出来ない方がいい。だって、この村だって道路になっちまうんだろ。それにこの学校だって、すぐに崩してしまうんだろ?」

 その夜、公民館に賛成派の若者たちが集まり、
 「これでおらたちもてーした金持ちずら」「んだんだ」(多少、脚色してあります)
 などと、気勢を上げていた。

 だが、ひどい霧が渦巻く中、帰宅中の若者、そして駐在までも落ち武者に遭遇し、さんざん脅かされる。

 三沢は事件を聞いて、無線で牧に連絡する。
 三沢「先輩、亡霊を見ると言う幻覚症状が、こんな同じように起きると言うことがありうるでしょうか」
 牧「つまり、見え過ぎる?」
 三沢「そうです、あまりにも鮮やかなんです」
 牧「すぐそっちに行くよ」
 牧、町田警部に連絡し、野村と共に現場へ向かう。

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 牧「祟りとすれば、村人みんなに祟ってもいい筈だ」
 三沢「そうなんですよ。亡霊を見たってのは、土地買収の賛成派ばかりなんです」
 駐在「なるほど」
 町田「亡霊が必ず霧の中から現れるってのも気になるな」
 駐在「なるほど」
 牧「霧、霧……こういうのはどうだろう? 霧の中にある種のガスを流す。そのガスを吸い込んだものは一時的な錯乱状態になる」
 三沢「そこへ亡霊が登場する、か」
 駐在「なるほど、なるほどぉ」
 三沢「しかし、反対派はお年寄りばかりですよ。そんな科学的なトリックが出来ますか」
 駐在「なぁるほどねえ」

 町田「君、感心ばかりしてないで、警察官として何か掴んだものはないのかね」
 駐在「面目ありません」

 この頼りない駐在、どこかで聞いたことがある声だなぁと思ったら、「宇宙鉄人キョーダイン」のゴンベスの声をやってた和久井節緒さんだった。

 三沢、健一少年と並んで腰掛けて、既に工事が始まっている村を見下ろす。

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 三沢「高速道路なんて、開通しない方がいいのかもしれないな」
 健一「山をあんなに崩したら、今に山が怒るよ」

 この健一少年のさりげない言葉が、後に不気味な木霊となって帰ってくるのだ……。

 三沢は、健一少年が亡霊の正体を知っている筈だと問い詰めるが、あくまで少年は知らぬ存ぜぬ。

 その夜、再び霧が出て、三沢は健一少年と一緒にいるところを、落ち武者に襲われる。だが、少年が助けを呼んできて、落ち武者たちとSRI、町田警部の乱闘騒ぎになる。

 やはり、落ち武者は反対派の老人達が扮装していたものだった。
 町田警部は昼のうちに書類を調べ、戦時中、広島の大久野島にいた村人を見付け出しており、その男が首謀者だと断定する。近くから、幻覚ガス発生装置も見付かる。大久野島は実際、かつて化学兵器が作られていた島である。

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 健一の祖父も落ち武者の一人だった。
 健一「ごめんよ」
 祖父「お前は良いことをしたんだ。お前が知らせなかったら、わしたちは人殺しをするところだった」

 落ち武者達は揃って連行され、事件は落着する。

 三沢は名残惜しそうに健一少年に別れを告げ、東京へ戻る。

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 牧たちが、何故、大久野島にいた男が犯人だと分かったのか、改めて町田警部に尋ねる。
 年長の町田と的矢所長は顔を見合わせて笑い、
 的矢「第二次世界大戦当時、いくつだった?」
 牧「えっと、5つでした」
 三沢「僕は1つ」
 野村「はははっ、僕は生まれてないや」

 的矢「広島の大久野島には、当時の陸軍造兵省の忠海兵器製造所があったんだよ」
 町田「毒ガス部隊だよ」

 二人の言葉に、やっと腑に落ちた顔になる三沢。
 的矢「亡霊に化けてまでも、土地にしがみつこうとした老人たち、哀れだねえ」
 町田「うーん」

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 ここまででも十分重たい話だが、この後、更に凄いことになる。
 さおりが新聞を持って駆け込んできて、鬼野村が鉄砲水で壊滅したことを知らせるのだ!

 落ち武者伝説もそうだが、この救いのないラスト、横溝正史シリーズ2の「八つ墓村」にそっくりだ。

  ・参考
  「八つ墓村」原作(1949~51)
   ↓
  「怪奇大作戦」(1968)
   ↓
  「横溝正史シリーズ2」(1978)


 そのニュースに愕然とする面々。
 濁流の特撮映像と、三沢が見てきた穏やかな村の風景がカットバック。

 牧「しかしこうなったお陰で、難航してきた土地買収はかえってスムースに行くだろう……」

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 三沢「そして堂々たる鬼野市が誕生する……」

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 だが、三沢の脳裏に浮かぶ「鬼野市」は、決して青年たちが思い描いていたようなユートピアではなかった……。

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 ラスト、既に高速道路が作られ、車が走っている。

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 かつてここに美しい村があった、唯一のあかしである地蔵の側で、老人がひとり呆けたような顔でそれを眺めている……。

 最初、この老人、吉田義夫かと思ったけど、特にそう言うわけではないらしい。
 いずれにせよ、特撮ドラマの枠を超えた、極めて重く、深みのあるストーリーであった。


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コメント

うーん。この話はラストが悲しいですよね。脚本では健一も鉄砲水の犠牲となって死ぬらしいんですが。気になりますよね。ラストの老人も誰なのか考えてしまいます。

Re:「怪奇大作戦」セレクション 第12話「霧の童話」(07/05)  

上原正三氏のシナリオですね・・・

少数派の抵抗も資本主義の力には勝てない・・・
ということなんでしょうか?

Re[1]:「怪奇大作戦」セレクション 第12話「霧の童話」(07/05)  

>ウルトラファンレオさん
>うーん。この話はラストが悲しいですよね。脚本では健一も鉄砲水の犠牲となって死ぬらしいんですが。

そうなんですか。す、救いがないですね……。

Re[1]:「怪奇大作戦」セレクション 第12話「霧の童話」(07/05)  

>影の王子さん
>少数派の抵抗も資本主義の力には勝てない・・・

これと同じようなことが日本中であったんだと想像すると、ますますやりきれなくなりますね。

Re:「怪奇大作戦」セレクション 第12話「霧の童話」(07/05)  

何とも切ないラストシーンですね😅時代の鄒勢は残酷ですね

Re[1]:「怪奇大作戦」セレクション 第12話「霧の童話」(07/05)  

ふて猫様
>何とも切ないラストシーンですね😅時代の鄒勢は残酷ですね

まさにそうですね。

ラストシーン

誰も死ななくても、時代の趨勢は残酷ですね😅下手なホラーよりもよっぽど背筋が寒くなりました

Re: ラストシーン

キツいラストですよね。

訃報

この傑作を上原先生と共に作り上げた飯島敏宏監督が
一昨日に亡くなられましたね。ご冥福をお祈りいたします。

Re: 訃報

残念ですね。

近日中に第2話を公開予定です。

ここから深夜に移動

NHKBSでは怪奇大作戦が1992年の夏に放送され、17時の放送だったのが大相撲で中断し、告知なしに深夜に移動しました。
テレビ雑誌のおかげで録画はできましたがNHKの対応の悪さにいらついたのを覚えています。
このときの不親切な対応は役2年後の仮面ライダー打ち切り事件の伏線となります。

Re: ここから深夜に移動

昔から結構特撮を放送してたんですね。

戦争の影

この作品に限らず60年代や70年代の特撮作品は戦争に関連したものが多いようですね😅時代が移り変わっても語り継ぐべき事は大切ですね

Re: 戦争の影

仰るとおりですね。

それにしても、いい加減、リテイクしないと……

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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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