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第15話「雪乃重傷!?サキ怒りの逆襲」(1986年2月20日)
前回の続きから、雪乃の運転手・宮本が、雪乃が何者かに攫われたとサキの部屋に助けを求めに来る。
宮本の持っていた書状には、「雪乃は預った」と言う恐車七人衆からのメッセージが書かれてあった。
しかし、サキの身近な人間は全て、やられた後その場に打ち捨てられるのに、雪乃だけ誘拐されているのはちょっと変だ。かと言って、雪乃を人質としてどうこうしよう、と言う素振りも見られない(最後に一応人質として利用されているが、雪乃がいなくてもサキは挑戦に応じていただろう)。
翌日、2-Bで平常通り数学の授業が行なわれている。だが、サキたち三人、そして前回やられて入院中の上原たち三バカトリオと、空席が目立つ。
教師「いやぁ、うるさいのがごっそりいなくなって、今日は授業がやりやすいなぁ」
教師の言葉に生徒たちがどっと笑う。

そこへお京がひとりで入ってきて、シンとなる。
教師「中村!」
お京「うるさくて悪かったな」
教師「なんだお前、今頃教室に入ってきて!」
お京「うっせーなぁ、折角授業受けに来てやったんじゃねえかよ」
カバンを放り投げるようにして机の上に置き、
お京「何か文句あんのかよ」 と、頬杖を突いて教師を威嚇する。
教師「……」
お京「どうしたんだよ、早く授業続けなよ」
教師「そ、そうだな、よし」
うろたえ気味に授業再開する教師。
管理人がこの教師だったら、毎日学校に来るのが楽しくてしょうがなかっただろうな(ドMか)。
お京は授業など上の空で、昨日のサキとのやりとりを思い返していた。あれからサキはひとり部屋にこもり、いくらお京がドアを激しく叩いて呼びかけても、ラジカセを大音量で鳴らして、一切反応しようとしない。お京が、標的(サキ)と関わった全ての人間を襲うと言う「恐車の術」の餌食になるのを懼れているのだ。

現実の教室にカメラが戻ると、カバンの上にぽとりと涙が落ちる。
お京(てめえの気持ちくらい分かってら……だけどな、じっとしてたってしょうがねえじゃねえかよ)
お京は何もせず座っているのに耐えられなくなり、がたんと立ち上がる。
教師「どうしたんだ、中村」
お京「つまんねえから、フケるんだよ」
教師「こら、待て、中村、
待ってくれ、頼むから行かないでくれぇーっ!」
思わず叫ぶ教師だが、後半は嘘である。正しくは、「お前、先生をバカにしてんのかっ」でした。
しかしこういう時、教師が中村雅俊みたいな熱血教師だったら、あれこれと食いついてきて鬱陶しいだろうなぁ……。
お京、ひとりで雪乃を助け出そうと決意するが、道路下の通路内で恐車七人衆に挟まれ、あっさりやられる。

ここでも、彼らは雪乃は誘拐したのに、お京は放置して行く。
サキの部屋の電話が鳴り、サキがびくびくしながらとると、
お京「ごめんよ、やられちまったよ。あいつら思ったより強いよ、あはっ」
サキ「お京、今何処におる?」
お京「だいじょぶだよ、自分で救急車呼んだから……心配しなくていいよ。だいじょうぶ、だから……」
サキ「お京! お京!」
電話ボックスの中に崩れ落ちるお京。
その夜、サキは目立たない格好で入院中の西脇を訪ねる。
雪乃とお京のことを報告し、
サキ「うちらのすぐそばにうちらの動きを七人衆に教えちょる奴がおる……うちに声をかけて襲われなかった人間が、ただひとりだけおった。転校生、井上貴子」 確かに前回、彼女はサキに挨拶していたのに被害に遭っていない。
西脇「そうか、なるほど」
西脇も、自分が襲われた時にそばに貴子がいたため、本気で戦えなかったことを思い出していた。
翌日、サキはひとりで下校中の貴子を公園で待ち受ける。
貴子「こんにちは」
サキ「うちに声をかけてもええがかね? おまんは七人衆に襲われることはないきぃ、ええがやね。おまんもその一味じゃろ」

貴子は「ふっふっふっ、あっはっはっ……」と高笑い。
ここで、声が変わり(来宮良子?)、
「仰せの通りで御座います」
で、「いよーっ」と言う掛け声と共に振り向くと、

いきなりこんな凄い顔になっている。……お嫁に行けない。
貴子「私が恐車七人衆の頭、獅子に御座います……明日、奥多摩山中一松のほこらにて、お待ち申し上げております」
サキ「分かった」
貴子、礼儀正しくお辞儀して、元の顔に戻って去って行く。

翌日、サキ(学校休みまくり)は、バイクでその場所へ向かう。
無論、乗っているのは南野陽子ではないのだが、バイクの尻のところに白い袋が貼り付けられていて、サキが降りる時、足が当たっている。

袋の中身はなんじゃろかい、と思ったら、それはあの鉄仮面だった。これは本気の戦闘の際の(スタントと入れ替わる為の)必須アイテムなのだ。

ライダースーツを脱ぎ、セーラー服になるサキ。なんでわざわざ動きにくい格好になるの?
後ろ髪をかきあげ、全国4000万人の「南野陽子のうなじフェチ」を狂喜させ、

一瞬で髪型をチェンジ! 神業である。

正々堂々待ち受ける七人衆との(楽しそうな)戦い。

しかし、これ、どう見ても
男だよな……。
下っ端を撃破した後、獅子との一騎打ち。

獅子「貴方様の手の内、とくと拝見させていただきました。実にお見事」
あくまで礼儀正しい言葉遣いの獅子。
バックには「桃太郎侍」が登場する時のような鼓が流れる。
獅子は、タテガミを振り回したり、火を放ったり、サキをそこそこ苦しめるが、

最後は、サキの
必殺メガトン頭突きが炸裂。ちなみにこのサキも男。
しかし、結局普通にサキと戦って、「恐車の術」(関係者を次々と倒して標的を孤立させ、精神的に追い詰める)の意味がほとんどなかった気がする。
サキがほこらの奥に行くと、雪乃が縛られていた。一見、無傷のようだったが、

サキ「おまん、目を? 許しとうせ、雪乃さん、許しとうせ!」
雪乃「大丈夫です。私は何があっても挫けませんもの」
雪乃は目が見えなくなっていた。恐車七人衆によって意図的に失明させられたのか、詳細は不明である。実はこれは、演じる吉沢秋絵がドラマとおニャン子クラブとの両立が難しくなったため、一時的に離脱させる為のやや強引な設定なのである。

その雪乃の入院しているひとり部屋。サキと、同じく入院しているお京の姿も見える。
お京「おい見ろよ、一ヶ月ぽっち入院すんのに、ったく金持ちってほんといやになるよなー」
たくさんのフルーツカゴや、見舞いの品を見て、お京がぼやく。
サキ「うーん、贅沢はいかんちゃ」
お京「だろう? サキだってそう言ってるぜ」
そう言う点では、意見の合う(貧乏な)二人。
サキ「でも良かった。手術が成功して。また見えるようになるがじゃろ……じゃあうちは帰るき」
雪乃「もう少しいて下さい。あたくし、寂しくて」
サキ「お京がおるじゃろ」
お京「そんなに寂しいんなら、あたいとおんなじ5人部屋に入ればいいだろーがよー」
雪乃「それはー」
お京「ったくしょうがねえなぁ、じゃいてやるからさー、ここにあるもん、食っていい?」
雪乃「どうぞ、お好きな物を召し上がって」
そう言われたお京は、早速ケーキの箱を手に取る。
お京「はーい、いただきいただき!」
サキ「そう言うときだけ素直になるんじゃな、お京は」
お京、ショートケーキを手掴みで頬張りながら(クソ可愛い)、
お京「あたいはいつだって素直です……」 サキ「お京、雪乃さんを頼んだぞね」
お京「はいはい」
お京は一ヶ月と言っているが、実際はこの後、3ヶ月ほど雪乃は戦線離脱する(ただし、ベッドで寝ている姿で途中でちょくちょく出ていたと思うが?)。

病院を後にしたサキの前に、西脇が現れ、とある墓地へ連れて行く。ひとつの墓石の前で、
西脇「拝んでやってくれないか。お前が拝んでくれれば、お前のお母さんもきっと喜んでくれる筈だ」
サキ「西脇さん、このお墓は」
西脇「俺の、親友の墓だ……南野陽子の熱烈なファンでなぁ……」
サキ「知るかっ!」
後半は嘘だが、どうやらこれがサキの父親のお墓らしい……。