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「怪奇大作戦」セレクション 第13話「氷の死刑台」


 第13話「氷の死刑台」(1968年12月8日)
 怪しげな研究所、棺桶型の冷凍庫のようなものの前でデータを取っている白衣の男・加瀬。
 彼が部屋を出た後で、冷凍庫の蓋を中から押し上げる者がいた。それは体からおびただしい冷気を発している不気味な怪物だった。怪物―冷凍人間は見回りに来た管理人を絞め殺すと、担いで外へ出る。そして通り掛かった若い女性をも手に掛ける。

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 その死体の上に、氷のような文字でサブタイトルが表示される。相変わらずセンスが良い。

 町田警部(小林昭二)から協力を依頼されたSRIは、早速調査に乗り出す。

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 その冷凍人間、夜、ある民家にやってきて、表札を見る。
 (川辺武? ……違う、家の様子も何もかも少しずつ違う。私が今朝家を出てから……誰だあの女は?)

 ちょうど玄関から主婦らしい女が出てくる。ここは彼の家らしいのだが、妻ではない、全く見知らぬ女だった。女がけたたましい悲鳴を上げたので、冷凍人間はその場から逃げ出す。

 翌日、再び例の研究所。加瀬が灯油をまいて、火をつけている。
 そこへ同僚の島村がやってくる。

 島村「加瀬さん何をするんだ、あの男が焼け死ぬ」
 加瀬「よせ、やめろ、管理人の水野さんが変死してるんだ。警察の手が回ってみろ」
 島村「しかし」
 加瀬「これでいいんだよ。今世間に知れると我々は殺人犯だ」
 もうもうと煙の上がる建物から、加瀬が島村を引き摺るようにして出てくる。
 二人は、冷凍人間がまだ棺桶の中にいると思っているようだ。

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 加瀬「騒ぎが収まるまで、実験は中止だ。島村、慌てるな。この資料を整理して完璧な報告書を作り上げる。出来上がってみろ。俺とお前には、素晴らしい栄光が待ってるんだ」
 二人は車でそこを離れる。加瀬を演じるのは最近(でもないか?)鬼籍に入られた西沢利明さん。名優です。

 別の研究室で二人が話している。その様子を冷凍人間が窓から覗いている。
 (昨日の朝、最初に声を掛けてきたのはあの男だ……)

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 ここで、「昨日の朝」のことを回想する冷凍人間。

 朝の通勤風景。
 ベンチに座っていたサラリーマン(冷凍人間・岡崎)に、加瀬が声をかける。

 加瀬「どうです、一日だけ蒸発しませんか」
 岡崎「蒸発? 面白いだろうなぁ」
 加瀬「公園を歩いて、映画を見て、酒を飲んで、結局は家へ帰りますか」
 岡崎「サラリーマンの一日だけの儚い反抗ですな。ははははっ、じゃ、サボりますか!」

 (やっぱりあの男だ……)
 冷凍人間が立ち去ったあと、島村がその窓の水滴が凍っているのに気付く。

 島村「冷凍人間だ。長い間に体内に染み込んだあれが、もし体の中を流れ始めていたら」
 加瀬「そんな、ばかなこと……」
 島村「我々が作ったあれは、普通の液体ヘリウムや液体空気とはまるで違うんだ」

 怯える島村だが、加瀬は逆に彼を捕まえれば実験の生きた証になると目を輝かせる。

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 あれこれと冷凍人間に関する調査を行った牧(岸田森)は、かっこいいSRIの専用車に乗って考える。
 (宇宙旅行か……人類の夢が数十光年の星に到達する。その為には人間の命は短過ぎる。宇宙開発を進めていく為には、この問題も解決しなければ。人間を低温で保存する。……そうか、冷凍人間の可能性はあるんだ)

 その後、漸く警察が吉野の身元を割り出し、例の研究所の所在を突き止める。

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 町田警部と牧がそこへ行くが、加瀬によって放火されたあとで、手掛かりは得られない。

 と、のそのそと冷凍人間が入ってくる。取っ組み合いになるが、冷凍人間は不利を悟って逃げ出す。

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 冷凍人間に腕をつかまれた牧、防護ジャケットを着ていたにもかかわらず、軽い凍傷になっていた。
 町田「一体今のは何だ?」
 牧「冷凍人間ですよ」

 牧は実験を重ね、「フレオンX12」なる薬品で、モルモットの体をマイナス87度まで下げ、冷凍人間とほぼ同じ状況にすることに成功する。

 牧「人間の細胞は7年経てば全部変わる。冷凍中も基礎代謝は続き、細胞は極超低温に対する異常な耐性を持った。町田さん、早く捕まえないと大変なことになりますよ」

 その後、遂に島村が冷凍人間の餌食になる。

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 一方、とある民家に冷凍人間が現れたと聞いて、牧たちは事情を聞きに行く。
 そこは、冷凍人間・岡崎が住んでいた家だった。

 主婦「青白い顔して、青白い煙が体中から」
 牧「冷凍人間……」
 的矢「しかしおかしいな、冷凍人間がどうしてここへ?」
 町田「何か心当たりは?」
 主婦「いいえ」
 的矢「失礼ですが、ご家族の中に行方不明になられたような方は?」
 主婦「いいえ、あ、そう言えば、この家6年前に買ったんですけど、お売りになった奥さんのご主人がその1年前に行方不明になられたんですって……朝、会社へ行く途中……岡崎さんと仰るんですけど」

 つまり、冷凍人間にとっては「昨日」でも、実際は7年もの歳月が流れていたのだ。

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 その頃、加瀬は、焼け焦げた研究所に戻っていた。
 加瀬「もう一度やり直すんだ。もう一度……」
 背後から、冷凍人間が現れる。

 加瀬「誰だぁーっ! ……岡崎か? 岡崎ぃ、良く帰ってきた。ふふ、ふふふふふ」
 逆にいとおしそうに冷凍人間に抱きつこうとする加瀬。そう、既に加瀬は正気を失っていたのだ。

 このキチガイ演技、さすがです。

 冷凍人間も、こんな男を殺してもしょうがないと思ったか、さっさと出て行く。
 加瀬「待て、待ってくれーえっ! ……ふは、ははははは」

 牧たちは、冷凍人間の正体が岡崎だと確信すると、彼の暮らしていた家の前で待ち伏せする。

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 待つこともなく、冷凍人間がやってくる。
 町田たちは岡崎を元の体に戻そうとなどとはせず、いきなり発砲する。

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 そして、SRI特製の「サンビーム500」を発射!

 具体的な説明はないが、とにかく強力な熱線砲らしい。

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 ビームを受けて、冷凍人間の手指がぼろぼろに崩れ落ちる。

 そして、炎に包まれる冷凍人間。

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 無論、牧にも勝利の喜びなどはない。

 牧(かわいそうに、あの男は既に7年前に殺されてたんだ。いや、7年もの間、氷の死刑台で殺され続けてたんだ。狂った死刑執行人の手によって……そしてそれが今、終わったんだ)

 おわりです。


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コメント

冷凍人間を元に戻そうとしない(できない)のがミソですよね。
燃やす(殺す)ことでしか救ってやれないのがしんみりきますね。

Re[1]:「怪奇大作戦」セレクション 第13話「氷の死刑台」(07/22)  

劇中では割とさらりと描かれてますが、岡崎さん、どえらい迷惑な一日でしたね。

NHKはやはりダメ

NHKBSで2007年にリメイク版の放送に先駆けてこの話が放送されました。本編の後にミニコーナーがあったのですが、冷凍人間役の俳優の名前が真弓田一夫さんではなく、増田順司さんと出ていました。増田さんは大学教授役でした。
ミニコーナーは蛇足と感じていましたがメインゲストの名前を間違えるという失態をやらかしたのでやはりNHKBSはダメだと思いました。
島村役はコミカルな演技で定評のあるロボコンの後期レギュラー住吉正博さんですね。

Re: NHKはやはりダメ

> ミニコーナーは蛇足と感じていましたがメインゲストの名前を間違えるという失態をやらかしたのでやはりNHKBSはダメだと思いました。

余計なもんつけなくていいから普通に放送しろって感じですね。

男の存在

本来なら7年前に死刑執行していた筈の男が7自分の意思以外に7年間も生かされているのはやり切れないですね。これなら何の為の人生かと思うと胸が痛みますね😑

Re: 男の存在

重い話ですよね。

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