第26話「デンジ姫の宇宙曲」(1980年7月26日)
巷では、歌手・吹雪豪(なんちゅう芸名だ)の新曲「銀河ハニー」が爆発的なヒットを記録していた。

冒頭、気持ち良さそうに「銀河ハニー」をライブで歌う吹雪豪。演じるのはバイキンマンでお馴染み、中尾隆聖さん。
「ハニー、ハニー、愛しのハニー、銀河の果てからやってきた、金色の髪、白い指~♪」 「二人で飛んで飛んで、銀河ディスコでフィーバー~♪」 客席には、デンジグリーン・緑川の姿もあった。二人は高校時代からの親友で、共に音楽を志した仲間であった。

歌いながら、吹雪がファンからプレゼントを貰うのが、何か良いよね。
曲の後、緑川は花束を持ってステージに上がり、抱き合って再会を喜び合うのだった。
「銀河ハニー」は売れに売れ、テレビ・ラジオは勿論、町のいたるところでその曲が流れるほどであった。
そして、

悪のベーダー一族まで、神妙な顔で吹雪の歌をテレビで見入っていた。平和だ。
だが、ヘドリアン女王が「やめーい」と叫びながら現れ、テレビのスイッチを切ってしまう。
女王「ああ、頭痛がしてきた」
ヘドラー将軍「いかがなさいました?」
女王「あの曲じゃ、まだ気が付かんのか? その曲は悪魔祓いの曲じゃ。ベーダーを呪う曲じゃ!」
ケラー「えっ、悪魔祓いの曲?」
ヘドラー将軍「そう言えば、デンジ星で聞いたことがある……」
彼らはどうも自分たちを「悪魔」だと認識しているようだ。なかなか謙虚な人たちだ。
女王の命を受け、将軍は怪人レコーラーを送り込み、「銀河ハニー」を聞いている者に様々なちょっかいを出して行く。

事件を聞いた緑川は、友人のことでもあり、実際にレコードをかけて調べることにする。知り合いの喫茶店のマスターに店を借り、ひとりコーヒーを飲みながら「銀河ハニー」のレコードを聞いてみる。
と、果たして、レコードがひとりでに宙を舞い、緑川目掛けて飛んでくる。
緑川はデンジマンに変身して調べると、やはりレコーラーが姿を消してレコードを操っていた。

その後、今度はデンジマン全員でレコードを聴いてみる。
青梅「特別、どうってことのねえ曲なんだがな」
あきら「でも、イントネーションが独特ね」
黄山「トルコか、アルジェリア辺りの民謡かな?」
緑川「アルジェリアって何処にあるんだ?」 黄山「知らん」 緑川「いや、聞いたこともない。全く新しい……」
電子犬アイシーは一見何も考えてないよう顔で聴いていた。何故なら、何も考えてないからだ。
そのアイシーが不意に叫ぶ。
アイシー「悪魔祓いの曲だ!」 
青梅「アイシーちゃん、今なんて言ったの?」
アイシー「悪魔祓いの曲だ。この曲はデンジ星で作曲されたものだ。ベーダーを追い払うための!」
緑川は、これは吹雪が5年がかりで作曲したオリジナル曲だと主張するが、アイシーも自説を曲げない。
と、赤城が「デンジ姫が地球に持ち込んだのではないか」と言い出す。
赤城「デンジ姫は地球にやってきたんだ」
緑川「そんなバカな……」
デンジ姫は、3000年前、ベーダーに滅ぼされたデンジ星の王女で、宇宙を漂流の末、地球に辿り着いたと言う伝説の人物である。

そのイメージ映像がちょっとだけ出てくる。
デンジ姫を演じるのは舟倉たまきさん。デンジ姫として劇場版に、デンジ姫の末裔(?)として45話にも出ている。なかなか綺麗でやんす。

「銀河ハニー」をかけていると、ベーダーに襲われるかもしれないと、デンジマンは路上で踊っている
竹の子族たちに注意するが、全く聞きゃしない。
「竹の子族」については、私も良く知らないが、80年代前半、そういうパフォーマンスをする人たちがいたそうな。……ま、本人たちが楽しいのなら、別に良いんじゃないかと思う。周りの人がとやかく言うことではない。
しかし、これは、本物の「竹の子族」の人たちを撮ってるのかな?

緑川は吹雪に会い、直接疑問をぶつけてみるが、吹雪はあくまで「銀河ハニー」は自分が作ったのだと言い張る。
緑川「俺はただ、デンジ姫がこの地球に来たと言う確証が欲しいだけなんだ」
吹雪「なんだい、そのデンジ姫ってのは?」
緑川「デンジ星の王女だよ。3000年前にこの地球に来てるんだ。……頼む、ほんとのことを教えてくれ!」
だが、吹雪は「ベストテン」の録画撮りがあるからと言って緑川を振り払って出掛けてしまう。
その後、「銀河ハニー」で踊っていた竹の子族がレコーラーの幻術によって色々とひどいに遭う。
吹雪自身、野外コンサートのリハーサルの途中、レコーラーに襲われるが、デンジマンによって助けられる。
遂に、吹雪も折れて、「銀河ハニー」の原曲を見せてくれる。

それは金属製のレコードのようなものだった。
吹雪「俺は良い曲が出来ずに悩んでいた。ギターを手に世界中を放浪したんだ。そう、あれはトルコの市場だった。古道具屋のおっさんが、蓄音機で鳴らしてたんだ……」
青梅「しかし何故、トルコでこれが?」
赤城「ピリー・レイスの南極地図もトルコのプカピで発見されている」
青梅「南極地図?」
赤城「うん、約3000年前に書かれたと思われる太古の地図だ」
黄山「宇宙から見た、南極大陸が書かれた地図だろ?」
赤城は、その地図も、マヤ族の文明も、ナスカの地上絵も、すべてデンジ姫がもたらしたものだと言い切る。
赤城の言う「南極地図」は、ピーリー・レイース提督が1513年に作成した地図のことである。オーパーツかどうかは別にして、3000年前と言うのはさすがに盛り過ぎ。
デンジマンたちはその原盤で改めて「銀河ハニー」のメロディを聴く。

曲自体は同じなのだが、
あきら「デンジ姫の声が聞こえるようだわ。親兄弟を殺され、故郷を追われた姫の悲しみの声が……」 と、涙をこぼす。
吹雪は、盗作を認めた上で、その後も景気良く「銀河ハニー」を歌いまくっていた。ベーダーは歌い手である吹雪を付け狙うが、常時デンジマンが護衛しているので手が出せない。
そこで、女王はレコーラーに命じ、全ての「銀河ハニー」のレコードを熱で変形させたり、曲を聴いている者を襲わせたりする。こうして、(やや強引だが)日本中から音楽が消えてしまう事態となる。竹の子族も消えてしまうが、
こちらは別に消えても問題なかった。 そこでデンジマンは、大音量で「銀河ハニー」の原盤を流し、レコーラーをおびき出す。
後はレコーラーを倒してあっさりと事件解決。
こうして再び、町に音楽が流れるようになった。
デンジマンたちは、人間にとって如何に音楽が大切か、思い知らされたが、
ついでに、竹の子族も復活したのは誤算だった。 この後も吹雪は、盗作「銀河ハニー」によって大金を稼いだと言う(註・言いません)。