第2話「運が良ければ五千万」(1979年4月22日)
自動車整備工場で働いているナビ、ディスコで働いているダーツそれぞれに電話があり、麻生探偵事務所へ呼び出される。探偵の依頼があったのだが……、

麻生「ナビ、ダーツ、姿を消したのは今朝だ。神宮前4丁目、この辺りを集中的に探してくれ」
ダーツ「タロウだなんて随分クラシックな名前じゃないの」
ナビ「いくつなんだ?」
麻生「1歳半」
ダーツ「まだよちよち歩きじゃない。そんな子供から目を離す親が悪い!」
麻生「森岡由美子19歳、依頼人だ」
麻生は、ダックスフンドを抱いた若い女性の写真を見せる。ちなみに由美子を演じているのはまだ10代の浅野温子さん。てっきり人間の子供を捜すのだと思っていた二人、犬捜しだと聞いてひっくり返る。
二人はタロウの好物と言う青山のアンデルセンのブルーベリー(ベーグル?)を用意し、先に犬を見つけたら5000円と言うせこい賭けをして、犬捜しを始める。
結論から言うと、賭けに勝ったのはナビで、麻生と二人、犬を連れて由美子の家を訪れる。

だが、由美子は不在で、代わりに父親と秘書の吉田が応対に出る。
屈託顔の父親は、相手が探偵だと聞いてその由美子が誘拐されたと打ち明ける。
麻生「さらわれたのはいつ?」
森岡「今朝、犬を探しに行くと出掛けたまま……」
麻生「で、何故それを私に?」
森岡「犬を探し出してくれたのも何かのご縁です。娘を探し出してください」
成功報酬100万で仕事を請けた二人、手付けの30万を持ってホクホク顔で屋敷から出てくる。
麻生は屋敷の前で新妻署の刑事が張り込みをしているのを見て、ひとりで新妻署へ向かう。

例によって神保ことゴリラが麻生の顔を見て吠える。
ゴリラ「おい、一般人は立ち入り禁止だぞ」
麻生「退職した社員が、元いた会社の前を通りかかり、昔の同僚の顔が見たくなった。いけません?」
ゴリラ「なにーっ」
桂「よせっ」
ゴリラの胸をポンと叩いて宥める桂。だが、麻生が森岡について訊ねても、真面目な桂は何も教えてくれない。警察が森岡をマークしているのは確かのようだが。

さて、ジュンがバイトをしているテレビ局。ディレクターの末広が脚本家に説教している。
末広「三分に一回、エロ・グロ・ヌード! まだ分からないの君は~」
脚本家「うん、でも、リアリティがね~」
末広「そういうこと言ってるからユーの脚本は面白くないの」
軽佻浮薄を絵に描いたような末広ディレクター。その部下・坪井を演じるのは福崎和宏さん。「不良少女とよばれて」の鬼教官・大磯役でお馴染み。
その場にいたジュンにユーコから電話があり、森岡についてトップ屋の谷村女史に話を聞いて来いと言われる。不承不承引き受けるジュン。

事務所に戻ってきた麻生、いつものように車を降りるときに屋根に頭をぶつけて「うっ」と呻く。
それを見ていた大家の原田(下川辰平)が「良く持つねえ、その頭」と感心する。新妻署に来たときに停めてあるパトカーに車をぶつけるのと同じく、定番のギャグのひとつである。

麻生は藤波のところへ行き、森岡について話を聞く。
麻生「裸一貫から、森岡商事を設立、業界では中堅クラスながら確実な利益を上げてると、ま、そこまでは分ってるんですけどね」
藤波「表向きはそうだ。だが、内情は苦しいらしいよ」
そこへ秘書の久美子が藤波の好物のカップラーメンを持ってくる。
藤波「時間は?」
久美子「たっぷり三分」
麻生「新製品ですか?」
久美子「コーンと餃子が入ってる」
藤波「新しい奴が出るとな、一通り食ってみねえと気がすまねえんだよ……うん、こりゃ旨い」
麺をすすりながら藤波が言うには、森岡のバックに竜神会と言う暴力団がついているらしい。
その後、森岡のところへ「明日の4時に5千万円を持って来い」と言う脅迫状が届く。森岡はそんな大金は用意できず、かと言って警察にも相談できず、と言う訳で、何とか娘を探し出してくれと麻生に縋る。麻生は話しながら、庭の犬小屋にタロウの姿がないのを不審に思う。

さて、ここで、管理人一押しの谷村女史(結城美栄子)が初登場。彼女はスクープ狙いの記者だが、ジュンが大のお気に入りなのだ。
谷村「楽しいなぁ、ジュンちゃんと一緒に飲めるなんて。もう一軒行こー!」
ジュン「今日はねえトップ屋の、いやいやトップのルポライターの谷村さんのお話を伺いたくって……」
谷村「だから、お話ならいくらでもしてあげるから、もう一軒行こうよもう一軒!」
ジュン「もう五軒目じゃないですかー」

また何処かのバーに入った二人。
ジュン「良く飲むな……」
谷村「ばぁーっ、おかわり!」
一気にグラスを飲み干す谷村女史。
この、小柄なのに男装のスーツ姿と言うのがたまらなく萌えるのである。うひ。
ジュン「僕の給料じゃこれ以上無理ですよ」
谷村「はははははー、大丈夫、任しといて」
ジュン「ほんと、全部? 今までのも?」
谷村「いや、これからのも」
まだハシゴするつもりらしい彼女の言葉に、げんなりするジュン。

谷村「あんた怒ると可愛いよ

」
ここでやっと、ジュンの知りたいことを教えてくれる谷村女史。
谷村「新妻署が動いてるのは、密輸ルートの解明……それも、拳銃」
ジュン「拳銃!!」
後編に続く。