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「電子戦隊デンジマン」 第25話「虎の穴は逃走迷路」(リライト版) 前編



 第25話「虎の穴は逃走迷路」(1980年7月19日)

 この話、一度リテイクしているのだが、管理人の大山いづみラブが止まらないので、改めて書くことにした次第である。

 冒頭、黄山がジャガイモの袋を抱えて、とある八百屋の店先にあらわれる。

 オヤジ「いらっしゃい……忘れもんですか」

 それがさっき買い物をした客だったので、店のオヤジは尋ねるが、

 黄山「いえ、おたくのはかりが間違ってるんじゃないかと思いまして……ちょっと失礼」

 黄山が店頭のはかりを大真面目に調べ始めたのを見て、

 
 「弱ったな」とでも言うように、顔を見合わせる親子。

 三度目なので今更説明の必要もないが、八百屋のひとり娘・礼子を演じるのが、管理人のフェイバレット女優の一人、大山いづみさんなのである!!

 そんな黄山を、離れたところから赤城と緑川が呆れ顔で見ていた。

 
 緑川「あーあー、しょうがねえな、あいつ」
 赤城「馬鹿だなぁ、礼子ちゃんの気持ちも知らないで」
 緑川「困ったもんだ」

 無論、はかりには何の問題もない。

 黄山「おかしいなぁ」
 オヤジ「うちのはかりにケチをつけるの、あんた」
 黄山「はかりが正常となると、やっぱり多過ぎるんだ」
 オヤジ「一体どうしたんです」
 黄山「さっきジャガイモを3キロ買ったんですよ、ところが帰って計ってみると、300グラムオーバーしてるんですよ」

 黄山がその場ではかりに載せてみると、確かに300グラム多かった。

 オヤジ「なるほどー」
 黄山「なるほどじゃ駄目ですよ、はかりは正確に読まなくちゃ」

 黄山はオーバーした分を返すと言って聞かない。

 表示より少なかったので文句を言いに来るのなら分かるが、その逆で文句を言いに来るのは珍しいと、オヤジはその馬鹿がつくほどの正直さに感心する。

 黄山「こちらで買ったものがいつも多めなので気になってたんですよ」

 
 礼子「……」

 二人の会話を横で聞いていた礼子は、いたたまれないような顔で肩を窄めていた。

 オヤジ「ははー、礼子の奴だな」

 オヤジもやっと300グラムオーバーの理由に気付き、ニヤニヤ笑う。

 オヤジ「サービスですよぉ」
 黄山「サービス?」
 オヤジ「ええ、300グラムサービス、毎度ありーっ!!」

 オヤジは、内気な娘の気持ちをおもんぱかって、そう言って丸く収めようとする。

 だが、度し難いほどの唐変木である黄山は、それでもピンと来ない様子。

 見兼ねた赤城たちが駆けつけ、黄山をその場から引っ剥がす。

 
 緑川「わかってんのか、礼子ちゃんの気持ちだ」
 黄山「なにが」
 赤城「これ、礼子ちゃんがはかってくれたんだろう、お前のことをジャガイモ300グラム分、わかるぅ?」
 緑川「ふふふふふ」
 黄山「えっ?」
 緑川「おい、モテるじゃないか、お前」
 黄山「礼子ちゃんが僕のことを? わー、どうしよう」

 二人に代わる代わる説明され、やっと事情を飲み込む黄山であった。

 そのことは、直ちにベーダーの耳に入る。

 
 ヘドラー「奴はとんでもないデクノボウでございます」
 ヘドリアン「うんー」
 ヘドラー「しかし、奴にもやっと春が巡って来たのです、相手は八百屋の娘、そこで黄山純をその娘の虜にした上で……」

 と言って、喉を掻っ切る仕草をするヘドラー。

 ちなみにヘドラーの香山さん、大山さんとは「スパイダーマン」で共演した仲なんだよね。

 
 ケラー「お嬢さん、お嬢さん」
 礼子「あたし?」

 その後、礼子が買い物籠を持ってしょんぼり歩いているのを、街占に扮したケラーが呼び止める。

 
 礼子「あたしに何か?」

 ……

 惚れてまうやろ!!

 当時としては反則レベルのルックスで、「デンジマン」のゲストヒロインの中ではぶっちぎりの可愛らしさである。

 ケラー「あなたは今、恋をしていますね」
 礼子「ああ、いえっ」
 ケラー「そして自分の内気な性格に悩んでいる。そうでしょ?」

 さすがベーダー、すでに礼子のことも調べ尽くしているらしく、礼子が抱いているコンプレックスをずばり指摘して、まずは口下手を治すために「話し方教室」で勉強しましょうと、尻込みする礼子を無理やりカルチャーセンターのようなところに連れて行く。

 
 部屋の壁には大きな姿見があり、ケラーは礼子をその前に立たせる。

 にしても、礼子の、お下げ髪の小学生みたいな服装がめちゃくちゃ可愛いのである!!

 
 ケラー「さあ、まず鏡に写る私の口の動きを良く見て、正しい発音を覚えるのよ……あ、い、う、え、お……さ、やってごらんなさい」
 礼子「あ、い、う、え、お……」

 真面目な礼子は言われたとおり口を動かすが、無論、発声練習など嘘っぱちで、礼子を鏡の前に立たせる為の口実に過ぎない。

 と、突然、鏡の上部に巨大な目玉が浮かび上がり、礼子に針のような光線を浴びせる。

 
 礼子「はっ!!」

 驚いて、思わず息を飲む礼子。

 ……

 惚れてまうやろ!!

 ……え、いちいち叫ばんでいい?

 
 と、鏡の中の礼子が、ずずずとこちらに向かって滑るように近付いてくる。

 
 そして、もうひとりの礼子が鏡の中から出て来て、本物の礼子と対面する。

 礼子「あたしが、あたしが……」

 ニセの礼子は、礼子の体に幽霊のように重なり、その体に憑依する。

 
 メダマラーの声(影分身、きもがえの術……)

 やがてメダマラーに身も心も支配された礼子は、ニヤリと不気味な笑みを浮かべる。

 前にも書いたと思うが、やっぱり女優さんて凄いなぁ。

 まるで別人のようである。

 次のシーンでは、朴念仁の癖に早くもデートの約束をした黄山が、待ち合わせ場所に向かってダッシュしている図となる。

 おそらく、メダマラーに乗っ取られた礼子の方から誘って来たのだろう。

 
 黄山「ああー?」
 礼子「うふっ」

 ところが、跨線橋の上で待っていた礼子は、いつもと違って物怖じせず、ほとんど妖艶と言っても良い色っぽい笑顔を向けてくる。

 髪型といい、赤地に白い水玉模様の派手なワンピースと言い、普段の礼子とはまるで別人のようないでたちで、黄山はすっかり調子が狂ってしまう。

 礼子「黄山君!!」
 黄山「……」
 礼子「さすが黄山君ね、時間に正確だわ」
 黄山「……」
 礼子「どうしたの?」
 黄山「いや、その……」

 喋り方もデート慣れしている女子大生のようで、シャイな礼子とは正反対。

 事前の意気込みは何処へやら、出来ればこのまま帰りたくなる黄山であった。

 それでも礼子に誘われて映画を見に行くが、

 
 普通のケースと違い、黄山は画面に釘付けになって、礼子の方を見ようともしない。

 そこで、礼子の方から体を摺り寄せ、黄山の肩に頭を乗せるが、

 黄山「礼子さん……」

 黄山はむしろ迷惑そうに、抱き締めるどころか、その体を押しのけてしまう。

 ならばと、右手で黄山の左手を掴むが、それも振り払われる。

 黄山がここまで朴念仁とはメダマラーも予想外だったようで、

 

 
 礼子「……」

 口元に手をやって、どうやって落とそうかと思案に暮れる。

 黄山は礼子がしきりに唸っているのを見て、

 
 黄山「腹減ってんの?」
 礼子「ええーっ?」

 黄山のありえない天然ぶりに、ベーダー怪人に憑依されていながら、思わず「素」で叫んでしまう礼子が笑える。

 しかも黄山は相手の返事も待たず、バリバリと音を立ててせんべいの袋を取り出し、

 黄山「うまいですよ、このせんべい、どうぞ」
 礼子「はい……」

 
 礼子「……」

 黄山が当たり構わずバリボリせんべいを噛み砕いている横で、なんとも言えない居心地の悪さを味わう礼子。

 シリーズを通して屈指の爆笑ポイントとなっております。

 と、黄山の前に座っていた男がいきなり立ち上がると、

 
 男「うるせえ、この野郎!!」

 ウィル・スミスの音速ビンタ(註1)もかくやという、右ストレートを黄山の顔に叩き込む。

 註1……この記事は2022年の4月に執筆しました。

 礼子「黄山くーん!!」

 しかし、これじゃあ、仮に礼子が本来の人格であっても、フラれてただろうなぁ。

 デートの後、あきらに傷の手当をしてもらっている黄山。

 
 黄山「いてーなー、もっと女の子らしく出来ないのかよ」
 あきら「何言ってんのよ、映画館でバリバリおせんべいなんか食べるからよ」
 青梅「せめてさ、あんぱんにしときゃよかったのに、ははははは」
 緑川「しかし、デートも出来ないのかね、この人」

 他人のフラレ話ほど楽しいものはないので、青梅たちは世にも嬉しそうに黄山をからかう。

 黄山「でもさぁ、礼子ちゃんってあんな人だと思わなかったんだもん」

 パンダのような顔で、拗ねるようにぼやく黄山であったが、さすがにこの段階で、ベーダーが介入しているとは誰も思わない。

 一方、ベーダー城では、ヘドリアンが怒りを爆発させていた。

 ヘドリアン「なんとしたことじゃ、メダマラーに殺させるといっておきながら、礼子の虜にならぬではないか!!」

 ヘドラー「申し訳ございません、しかし、今度こそ必ず黄山を」
 ヘドリアン「将軍、ぬかるなよ」
 ヘドラー「はっ」

 しかし、黄山を殺すだけなら、無理に礼子の虜にさせる必要はないような気もする。

 黄山はあくまで生身の人間なんだから、映画を見ている隙に、拳銃を横っ腹にでも撃てばいいのである。

 その後、黄山は再び礼子にデートの誘いを受けるが、ベーダーはまたしても黄山の好みを見誤り、ナウなヤングでごった返すディスコにその場所を選んでしまう。

 
 黄山「礼子ちゃん……」

 前回よりますます派手な恰好に身を包み、快活に若者たちの間で体を揺らせている礼子の姿に、信じられないものを見たような……まるで、初恋の女性がエロビデオに出てるのを見たような情けない顔になる黄山。

 
 礼子「はーい、じゅーん!! ね、踊りましょうよ」
 黄山「あ、いやいや」

 礼子は目敏く黄山を見付け、大きな声で呼びかけるが、黄山は早くも逃げ腰になる。

 それでも礼子に強引に引っ張られて、いかにも嫌そうに踊っていたが、

 黄山「こういうとこ苦手なんだよ」
 礼子「駄目よ、逃げちゃ、ちゃんと踊って」
 黄山「いい加減にしてくれよ!!」

 我慢できなくなったように怒鳴りつけると、その場から逃げ出してしまう。

 礼子「黄山くぅん!!」

 なおも礼子、黄山の前に先回りして、甘ったるい声で呼びかけるが、

 
 黄山「そばに寄るな!! 君は礼子ちゃんじゃない」
 礼子「……」
 黄山「礼子ちゃんはもっと素朴で、土のにおいがする素直な女の子だと思っていた、僕はそう信じていたんだ!!」

 しかし、ニセ礼子も、単に積極的にアタックしてくると言うだけで、今までのやりとりだけで「素直じゃない」と決め付けるのはどうかと思う。

 つーか、ベーダーの企みのことは忘れてこのシーンを見ると、黄山が、意中の女の子が、つきあってみたら自分の理想どおりじゃなかったので一方的に幻滅している、ただの自己中野郎にしか見えないのである。

 礼子「黄山くぅん!!」

 さらに礼子が駆け寄ろうとするが、

 黄山「どけ!!」

 あまりといえばあんまりな言葉を吐いて、その体を突き飛ばし、礼子がコケたのを見ても、助けようともせずに走り去ってしまう。

 これじゃあ、自己中野郎どころか、ただのクソ野郎である。

 
 黄色いサテンのゆったりしたシャツとパンツのセットアップと言う、竹の子族風……と言うか、マハラジャ風orジンギスカン風ファッションで倒れている礼子。

 ああ、これがミニスカだったらなぁ……

 残念ながら、夢のようなミニスカブームはとっくの昔に終わり、今はパン チラ族にとっては冬の時代と言われる80年代に突入しているのだった。

 
 と、礼子の体から、礼子本来の人格が抜け出て、

 礼子「黄山君、黄山君!!」

 幽霊となって必死に呼びかけるが、無論、黄山の耳には届かない。

 しかし、本来の人格なのに、「黄山君」と、君付けで呼ぶのはなんか違和感があるなぁ。

 ちなみに俳優の年齢で言うと、大山さんのほうが1個だけ上である。

 メダマラーは、ニセ礼子だけを呼び寄せると、しつこく黄山の前に立たせる。

 と言うことは、メダマラーが礼子の体に憑依していると言うより、メダマラーが作り出したニセの礼子を憑依させて、それを操っていると言うことか。

 さすがに怪しいと感じた黄山は思い切ってデンジイエローに変身し、

 
 イエロー「デンジスコープ!!」

 デンジスコープで目の前の礼子が、実体のない影であることを暴き出す。

 イエロー「幽霊か、幻か……」

 後編に続く。
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コメント

改めて観ると大山さんが本物と偽物を上手く使い分けていたようですね😅どうせなら、黄山ももう少し早く気付いて欲しかったですね

Re[1]:愛と勇気の炎を燃やす「電子戦隊デンジマン」第25話(05/16)  

ふて猫様

大山さんはもっと色んな作品に出て欲しかったです。

中々お似合い

ケラーの勧誘員コスは中々お似合いのようですね😅キャッチセールスをしても違和感がないようですね

Re: 中々お似合い

なかなか美人ですよね。

黄山の台詞

黄山の“負けてもらった”のセリフは “おまけしてもらった“の間違えではないのでしょうか?

Re: 黄山の台詞

いや、あれで良かったと思いますが……

そして映画館で煎餅は無えだろ一般常識で考えて

いやそんなキツく当たるなよ黄山、礼子ちゃんだって精一杯背伸びした結果空回りしてるだけかもしれんだろうがっ!(実際『ジェットマン』で同じくイエローのデート回がそんな感じだった)

その態度はねぇだろ?

どうも朴念仁の黄山には礼子さんは勿体無いような気がしますがね😅代わりに小生が相手にして欲しいぐらいですね

Re: そして映画館で煎餅は無えだろ一般常識で考えて

道理で女に縁がなかった筈だと、妙に納得してしまいました。

Re: その態度はねぇだろ?

確かに黄山にはもったいないですね。

ジャガイモ

ジャガイモを3キロも買うって料理屋さんとかでもないのに多すぎないか?と思ったけどアスレチックの喫茶コーナーでフライドポテト等を作るために買うんですかね。それでもさすがに多い気がします。
買ったジャガイモの量をわざわざ計りますかね?3キロ買ったら300グラム多いのを気にしますかね?ボクシングの計量ほどじゃないけど細かいことにこだわり過ぎです。
ただし気付かなかったことにしないのは正義のヒーローだからでしょう。

Re: ジャガイモ

> 買ったジャガイモの量をわざわざ計りますかね?3キロ買ったら300グラム多いのを気にしますかね?ボクシングの計量ほどじゃないけど細かいことにこだわり過ぎです。

さすがにそんな奴いないですよね。

反省

喫茶コーナーでは「10円ハンバーカー」の時にカレーライスが作られていたのを忘れていて、黄山が料理を出してたのもすっかり忘れていました。
一日に何人利用者がいるのか知りませんが、カレーライス一食に平等にジャガイモを入れようと思えば量の多さに気付くはずですね。

黄山さん、頭悪いツッコミ申し訳ございません。

Re: 反省

そう言えばカレー作ってましたね。

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