第11話「ベールをぬいだ影の総統」(1986年1月23日)
前回のラスト、大杉(小沢仁志)から「影の総統」ついて知りたかったら「XEKU(ゼクウ)」と言うロックスターをマークした方が良いよと忠告されたサキは、早速そのXEKUのことを調べ出す。

とりあえず、こんな汚い格好に変装し、高架下の地下道で、クリーム入りコッペパンを食ってる浮浪者のような男に会う。
男「金、持ってきただろうな?」
サキがよれよれの万札を渡すと、男は小さな紙袋をサキに投げて寄越すと、さっさとトンズラする。
紙袋にの中には、XEKUのカセットテープがひとつ。

しかし、サキの部屋にはテレビはおろか、ラジカセすらないので、学校の放送室の機材を使って、そのテープをヘッドフォンで聴いているサキ。お京と雪乃が入ってきて声を掛けても全然気付かない。
お京がプラグを抜くと、XEKUの曲が大音量で響き渡る。
雪乃「なんですのー、この淫らな曲は?」
お京「なんだよXEKUじゃねえかよ」
雪乃「XEKU?」
お京「なんだよ、XEKUも知らねえのかよ、時代ボケーッ」
サキ「おまん、XEKUを知っちょるがか?」
お京「当たり前だろ、知らなきゃ遅れてるよ」

サキは、西脇にXEKUについて調査して貰う。
サキ「写真はないがか?」
西脇「何処で生まれ、今まで何をしてきたのか、我々の組織がいくら調べても出てこない。分かっているのは1年前に突然、ライブハウスに登場したこと。それ以来、異常に人気が盛り上がって、いつどこでコンサートを開くか予告を打たないにも関わらず、フアンたちはそれを嗅ぎ付けて群がってくる」
サキは仕方ないので、ひとりで情報を求めて街をさまよう。

そんな折、駅のホームでスカーフにXEKUという文字を刺繍している女子高生・優子を見掛ける。しかもそのヘッドフォンからはXEKUらしき曲が流れていた。
サキは強引に彼女を連れ出して、話を聞く。彼女はXEKUの熱烈なファンで、今までのライブを全て見たと自慢げに話す。サキは、XEKUが次にいつ何処でライブをやるのか教えて貰おうとする。
優子は後日、同じXEKUのファンが集まる喫茶店にサキを連れて行き、次のライブは渋谷の「エッグマン」と言うライブハウスだと断言する。ただ、日時は不明なので、サキは早速その店にバイトとして潜り込む。

マスター「どう、慣れた?」
サキ「まだ三日目じゃ、とても……」
マスター「ま、がんばんなよ」
と言う、このマスター、何処かで見たことあるなぁと思ったら、

そう、「星雲仮面マシンマン」(84)の第7話でアナウンサーをやってた人だった。
山形政彦さん。
「やかましい、知るか!」 と、画面に向かって吐き捨てる読者の皆さんの姿が目に浮かぶようです。
ちょうどそこへ、薄眉毛のいかつい容貌の男が店に入ってきて、オーナーらしき男性に奥の控え室のほうへ案内されて行くのが見える。マスターは「あいつXEKUのマネージャーだぜっ。やったぜっ、次のXEKUのコンサートはここだぜっ」と、はしゃいだ声を上げる。
サキはとりあえずバイクでマネージャーの車を追跡するが、すぐに2台のバイクが現れてサキの走行を邪魔し、サキはガードレールにぶつかって宙を舞う。

バイザーを上げるサキが、ちょっと可愛いので貼って見ました。

優子にそのことを話すと、
「ばっかだねえ~、XEKUのSPにやられるなんて」と朗らかに笑われる。
あの、殺されかけたんですが……。 なんとしてもXEKUに会いたいと懇願するサキに折れて、優子はサキの前でXEKUのマネージャー・菊地に電話を掛ける。
優子「XEKUのマネージャーとコネがあるって訳」
サキ「それで次のコンサートの場所を?」
優子「そっ、ちょっっとしたもんでしょ?」
優子は翌日、菊地からライブのチケットを10枚だけ割り当てられる。

優子の溜まり場には10人以上のファンがいるので、くじを引いて抽選でチケットを配ることになる。
サキもくじを引くが、あいにくとハズレだった。
……しかし、店でバイトしてるんだから、別にチケットは要らないのではないかと思うのだが。

サキがかなり凹んでいると、優子が自分の分のチケットを譲ってくれる。サキは遠慮するが、優子は菊地から融通して貰うからと、サキに半ば押し付けるようにして渡す。
優子「これさ、この前のコンサートの時、XEKUがあたしに向かって投げてくれたんだ。だからあたしこうやって刺繍して直接返そうと思ってんの……XEKU、きっと喜んでくれるよね」
優子のXEKUへの一途な想いに、サキは胸を打たれる。
そして、いよいよXEKUのライブの日。
XEKU登場前、優子はひとりで控え室へスカーフを届けに行くが、ドアの外で、
「総統お時間です」
「総統はよせ、今はXEKUだ」
などと言う会話を聞いてしまう。別にどうってことはないと思うのだが、中から出てきた菊地は鬼の形相になって優子を追い掛ける。

さて、ライブが始まり、XEKU本人がステージに立つ。
この、ローマの剣闘士みたいな衣装の人がXEKUその人です。
サキも客席からその様子をしっかり見てる筈だが、例によって「影の総統」なので、どうしても顔ははっきり見えない。

熱狂する観衆の中で、サキ一人醒めていた。
ライブの様子と、夜の繁華街を逃げ惑う優子の姿が交互に映し出される。
いつまで経っても戻ってこない優子を心配し、サキは途中でライブを抜け出し、優子を捜す。

で、いろいろあって、サキは公園でぶっ倒れている優子を見付ける。
優子「菊池さんに怒られちゃった

良いこと教えてあげようか、XEKUの仇名は総統って言うんだよ。みんなには内緒だよっ

」
明るく笑ってガクッと死ぬ優子。
そんなことで死ぬなよ……。 と言うか、それくらいのことで殺すなよ……。

そこへ菊地が現れる。彼はサキも始末しようとするが、
サキ「二代目スケバン刑事、麻宮サキ、おまんにこのひと針ひと針に込められた真心が分からんかぁ?」 菊地「分かりません」 サキの怒りが爆発し、菊地とその部下はボコボコにされる。
サキは急いでライブハウスへ戻るが、既にライブは終わり、客がぞろぞろ帰って行く。

ここでも敵に襲われるが、サキの敵ではない。
大方のアクションはスタントが演じているが、南野陽子さん本人が演じているところもある。
その後、控え室からギターでサキの持つペンダントから流れる曲と同じメロディが聞こえてくる。サキが控え室に行くが誰もおらず、外へ出ると、ちょうど総統らしき男を乗せた車が走り去るところだった。

車の窓越しに、一瞬、二人の視線が交差する。
総統「あれが麻宮サキか、美しい眼をしている。遊びは終わりだ!」
サキ「何故、影の総統が、うちのペンダントと同じメロディを……?」