「花のあすか組！」第8話 前編

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　第8話「おフロでピンチ！」（1988年6月6日）
　管理人推薦の武上純希の脚本だが、この魅惑のサブタイトルはやや反則気味である。確かに女子中学生の入浴シーンは出てくるが、ほんの数秒に過ぎないからだ。

　あすか、ミコ、はるみは、あすかの部屋に集まり、東京の領土マップを広げている。
　
　いつも以上にアンニュイなミコ。寝転がったまま、「ああ、力抜けるよなぁ、あたしたち全中裏を追い出す為に随分頑張ったよなぁ。でも、たったこれっぽっちか……」と、依然として全中裏の支配が圧倒的なマップを見る。

　はるみ「いいえ、西3区、西6区を取り戻した今、独立スケバン系の強い北1区と手を結んで、挟み撃ちをすれば、西区全体から全中裏を追い出すことだって可能ですわ」
　ミコ「そうかなぁ、無駄な足掻きっぽいけどなぁ」
　ベッドに寝ていたあすか、むくっと起き上がり、
　「無駄な足掻きでいいのさ、目ぇ一杯足掻いてりゃ、目ぇ一杯叫んでりゃ、それでいい。いつか肩貸してくれるダチも出てくるもんさ」

　あすかは北1区七天王を率いる大番・織田信子に会い、彼女と一緒に全中裏と戦おうと宣言するが、
　ミコ「そりゃダメだ。北1区七天王が活躍したのは先代大番まで。今の大番・織田信子に七天王を操る能力はない。なんせ、本格的なアッパラパーだからな」
　情報通のミコが指摘する。あすかはダメモトで良いからと、早速北1区へ向かう。

　
　その頃、全中裏本部でも、春日がひばり様に作戦状況を報告していた。
　春日「北1区は鬼が進攻中でございます。織田信子はおおうつけ、全中裏風紀委員による締め付けにも何ら反撃する気配はございません」
　ひばり「北1区七天王は？」
　春日「確かに勇名を轟かせ、北区に幻のスケバン七天王ありと言われた……奴らがなりを潜めるが不気味！　鬼、調べはついたか？」
　二人の前には、黒装束の「鬼」、全中裏・裏番十人衆の一人が控えている。
　鬼「織田信子がその所在を知る筈ですが、いまだ表に姿を現わすことも無く」
　春日は、鬼に、七天王の抹殺を命じる。

　あすかとミコは、北1区に入り、織田信子のいる北安土女子学園を訪れる。と、校門のところに細々とした校則が書かれた立て札があって、全中裏の息のかかった風紀委員たちが力尽くで生徒たちにそれを守らせようとしているところだった。

　そこへ、明智満子と言う、織田信子の腹心らしい女生徒が現れ、風紀委員たちを一喝する。
　「信子先輩は必ず立つ、北1区七天王を復活させ、お前たちを叩き潰す！」　

　
　続けて、日傘を持った名古屋弁の女子生徒が登場。
　信子「誰か、わたしのこと呼んだがや～？」
　満子「信子先輩！」
　それは、あすかたちが来る途中で出会った変な女の子だった。彼女が大番・織田信子だと知り、唖然とするあすかとミコ。

　満子「信子先輩、全中裏に好き勝手やらせて、それで北1区大番って言えるんですか？」
　信子「ほんとにわしもそれでこまっとるでがんて～」
　満子「七天王を集めて、全中裏と戦いましょう！」
　信子「とっれえこといっとってかんて！　いくさは怖いでしょう～」
　信子はさっさとその場を立ち去る。

　名古屋弁を聞き書きするのは死ぬほど面倒臭い……。

　信子が噂通りの「おおうつけ」なので、ミコは望み薄だと諦め顔だが、あすかはとにかく一度会って見たいと、芝生でコロッケ食ってる信子の前に立つ。

　
　あすか「西3区、泰山学園九楽あすか、たったひとりのあすか組を組織している」
　ミコ「そのマブダチ、西3区、はぐれスケバンのミコ」
　自己紹介をしてから、
　あすか「全中裏に対抗する為にあんたの力を借りたい」
　信子「むちゃくちゃ言っとったらあかんて、そんな力わしにはありゃせんがね。そんな話より、飯でも食うみゃあ」
　と、コロッケを傘の石突に刺して、あすかの鼻先につきつける。微妙にばっちいなぁ……。

　相手の心底を試すように、しばし見詰め合うあすかと信子。

　
　あすかはおもむろに、そのコロッケを手を使わずにがぶっと齧る。なんか、ばっちいなぁ……。

　信子「一突きでおみゃあの喉みたいなもん突いたるで」
　あすか「ああ、やりたきゃやんな、手を結ぼうって言った時から、あたしの命半分、あんたに預けたつもりだよ」

　
　平然とコロッケを食べ続けた後、「辛口だね」と、コメントするあすか。食べかけと言うのも、何かばっちいなぁ……。
　これ、カレーパンにも見えるんだけどね。

　やおら信子は立ち上がると、「おみゃあらちょっとついてこいて、ここでそんなめんどくさい話できるわけにゃあでしょう」と、さっさと歩き出す。

　
　二人が連れてこられたのは、信子の自宅だろう、由緒ありげなお堂のような屋敷だった。
　ミコ「妖怪ぬらりひょんでも住んでんじゃねえのかー？」

　信子は、とりあえず風呂に入れと二人に勧める。
　あすか「気遣いは要らない、今後の展開の話がしたい」
　信子「そんなの汗を流してさっぱりしてからでええがや……それともわしの風呂にはよう入れんちゅうんかい？」
　と言う、かなり強引な展開で、

　
　全国8700億人の男性視聴者が待ち望んでいた女子中学生の入浴シーンとなる！

　ミコ「あすかぁ、なんでこんなことまですんだよ？」
　あすか「こっちが正体晒さなきゃ、向こうも正体見せてくんないんだよ！」
　ミコ「だからってここまでよー」
　二人が話していると、急に後ろのガラス戸が開き、

　
　格子の間から、鬼が竹馬（笑）を突き入れてくる。
　ただ、二人ともしっかり体にバスタオルを巻き付けているので、特にコーフンするようなことは起きない。
　あすかはすぐに敵を追って風呂を出て、ミコもそれに続く。

　これが「フロでピンチ」の全容である。詐欺じゃねえか。

　
　ま、15、6才の小沢なつきさんの脇とか胸の谷間とかがほんの一瞬見えるけどね。

　
　庭に出たあすか、竹馬に乗って戦う鬼の額にコインを当て、撃退する。

　
　ミコもすぐにやってきて、追いかけようとするが、
　あすか「追わなくていい、正体は見えた」
　ミコ「あのダサい格好は」
　あすか「全中裏の刺客だ」
　ミコ「どっかの大番さんが、パッパラパーのおおうつけだからこんなことになるんだよ」
　ここのミコ、制服のブレザーを着る暇が無く、シャツだけと言うのがなかなか新鮮だ。

　後ろに立った信子が声を上げる。
　信子「北1区は平和だがやー。刺客みたいな、そんな物騒なもんおらん筈だがや～」
　あすか「織田信子、いつまで大ボケを演じてんだ。そろそろ本音を吐きな」

　信子、真顔になって、
　信子「それが何になる？」
　あすか「お前、本気で叫んだことあるかい？　本気で足掻いたことがあるのかい？　叫んでみなよ、足掻いてみなよ、その叫びを聞いて、肩貸してくれるダチもいるさ」
　言いながら、ミコの顔を見ると、
　ミコ「なんだよ、照れるじゃねえかよ」
　あすか「へへっ」

　信子「あんたらにだったら叫んでもいいな、本音を」
　と、漸く信子が真情を吐露してくれることになる。

　後編に続く。