「地球防衛少女イコちゃん」は、1987年に発売されたオリジナルビデオ作品である。
監督は、○○○○の河崎実さん。
だいぶ以前、1と2のVHSを入手して、ブログで取り上げたこともあるが、2020年だったか、シリーズ三作とメイキングが収録されたお得なDVDがあるのを発見して速攻で手に入れ、それ以来、いつかはきちっとレビューしたいと思っていた作品なのである。
冒頭、ヒロインであるJC・河井イコ(磯崎亜紀子)が、大急ぎで学校に向かっている。
遅刻しそうなのだ。
イコ「あれえ? おかしいなぁ……」
その途中、ふと腕時計を見ると、デジタル表示部分が妨害電波でも受けたように乱れていた。
ボタンをいくら押しても元に戻らず、困っていると、

イコ「あーっ、いけないっ!!」
早くも、始業を告げるチャイムの音が聞こえてくる。
……
以前紹介した時は、特になんとも思わなかったが、改めて見ると、いかにもその筋の人たちに好かれそうな顔立ちである。
イコ「お願い、待って!!」
イコ、自分が乗るはずのバスがすぐ目の前で走り出しているのを見て慌てて追いかける。
ちなみにそのバス、走り出した時点ですでに学校(?)の敷地内に入りかけているのが、若干不可解である。

引き続き、全力疾走するイコのキャピキャピした姿に、いかにもビデオ!! と言う感じのタイトルが重なり、OPクレジットが流れ出す。
OP後、並木道の真ん中に立っていたイコが何かの気配を感じて振り向くと、路上に、全身金ラメの奇妙な服を着た男が大の字に横たわっていた。

イコ「どうしたんですか、大丈夫?」
モロケン「は、腹減った、死にそうだ」
今のJCだったら、「死ね!!」で終わりだが(註・あくまで管理人の偏見です)、心優しいイコは自分のお弁当を差し出す。
男はプラスティックの弁当箱ごと弁当を平らげると、たちまち元気を取り戻す。

モロケン「どうもありがとう、いやー、助かったよ、観光に夢中になっててエネルギー搾取(摂取?)を忘れててね……つい異次元空間を発生させてしまった。巻き込んじゃってごめん」
イコ「あなた、誰?」
モロケン「僕の名はモロケン、アンドロメダ星雲にある○○星から観光旅行に来た宇宙大学三年生なんだ。君は?」
イコ「河井イコ」
モロケンは平べったいカメラを取り出して空間に固定すると、

素早くイコのそばに移動し、その肩に腕を回してツーショット写真を撮る。
今だったら即通報だが、心優しいイコはただびっくりするだけであった。
モロケンは撮ったばかりの写真をイコに渡すと、「集合時間だ」と言って慌しく走りかけるが、何かを思い出したように引き返し、
モロケン「これあげる、困ったときにきっとこれが役に立つと思うよ」
ピンク色の可愛らしいインカムをイコに押し付けると、空間の中に飛び込んで消えてしまう。
その後、上空にぐるぐる回る円盤が出現し、モザイク処理で消えるカットがあるのだが、別に要らなかったように思う。
イコ「奇抜な人ぉ……あ、いけない」
思い掛けない宇宙人との遭遇に茫然としていたイコ、腕時計に目をやると再び走り出す。

イコ「わあ、凄いわぁ」
しばらく走った後、周囲の景色があたかも新幹線に乗っているようにビュンビュン後ろに飛んでいるのに気付き、嘆声を放つイコ。
そう、早くも、自分の願うことがなんでも叶うスーパーインカムの力が発動したのだ。
だが、始業時間はとっくに過ぎており、

イコの通っている女子中では、プールで水泳の授業が開始されようとしていた。

先生「○○さん」
生徒「はい」
水着姿の先生が、スク水の少女たちの前を歩きながら、点呼を取っている。
先生「河井さん」
イコ「間に合って、お願い!!」
イコが走りながら念じると、

イコの制服が一瞬でスク水になる。
スク水を着たJCが、カバンを持って路上を走っているという、極めて変態的なシチュエーションであった。

イコ、願いが叶って、プールの端っこの上空に一瞬で移動し、そのまま水に落ちる。
イコ「はい!!」
プールの中に立ち、右手を挙げて返事をするイコ。
ほんとはこのままプールで戯れる少女たちの肢体を思う存分撮りたかったに違いないが、尺の都合もあるので、監督は断腸の思いでこのシーンを打ち切る(註・あくまで管理人の想像です)
教室で、親友のアサミと話しているイコ。

アサミ「なにそれ」
イコ「あ、これ? 学校に来る途中変な人がいて、お弁当上げたらお礼にくれたの」
アサミ「なにそれ」
イコ「宇宙から来たって言ってたわ、観光旅行で……それであっという間に目の前で消えちゃったの」
何気に会話が噛み合ってないように聞こえるが、最初の「それ」は、スーパーインカムのことで、次の「それ」は、イコの体験のことを指しているのである。
アサミが信じてくれないので、イコは証拠があると、さっき貰った写真を見せるが、いつの間にか、モロケンの姿だけ消えているではないか。
イコ「あれえ」
アサミ「冗談言ってないで、行こっ」
アサミがいなくなった後、イコがもう一度写真に目を落とすと、今度ははっきりモロケンが映っていて、しかも写真の中で動き、ピースサインまでして見せるではないか。
驚きのあまり声も出ないイコであった。
次は理科の時間であったが、イコは朝っぱらから全力疾走した上に泳いだので疲れ果て、しかも先生がしょうもない恐竜の話ばっかりしているので眠くなり、遂には机に突っ伏して豪快に居眠りを始める。
が、先生は何故かイコではなく隣のアサミを注意すると、
オオタケ先生「もう一回言うぞ、今まではジュラ紀に生息した生物で地上最大のものはディプロデクスだと思われていた。しかし、つい最近発見された化石によってこのペンタザウルス、この怪物が地上最大の生物だと確認された(中略)今だってどこかに生きてるかもしれない。出て来-い、怪獣!! なんちゃってな」
などと言ってると、突然、教室がぐらぐらと揺れ始める。
オオタケ先生「……ただの地震だよな?」
だが、イコは相変わらずすやすやと眠っていた。

昼休み、イコは外でお弁当を食べていたアサミのところに行き、隣に腰掛ける。
アサミ「地震があったのも知らないの?」
イコ「うん」
アサミ「呆れた」
イコ「ごめーん」
しかし、イコは今日、お弁当がない筈なのに、弁当を食べている友達を前にして、空腹を訴えるシーンがないのは物足りないなぁ。

アサミ「寝てたとこ、しっかりテスト範囲だからね」
イコ「えっ、ほんと? ねえ、どこどこ?」
アサミ「ここから」
……
うっ、なんだかんだで可愛いやんけ。
アサミは先生の言っていたペンタザウルスとやらの想像図を見せて、
アサミ「オオタケ先生ったらね、今でもこんな怪獣が生きてるかもしれないって……バカバカしいわぁ」
イコ「でも、こんなのが出てきたら面白いと思わない? 私好きだなぁ」
何気なくつぶやくイコであったが、スーパーインカムをつけたままだったので、その願いがたちまち現実のものとなってしまう。

彼らの目の前にあるビルの谷間から、いかにもスタッフが、ミニチュアの陰からスコップか何かで掬って投げている感じの土砂が舞い上がったかと思うと、

大昔に絶滅した筈のペンタザウルスが、土の中から出現する。
……ま、これ、先生の言うように実はペンタザウルスが生きていて、イコちゃんのスーパーインカムのせいでこの場所に連れて来られたのか、スーパーインカムがペンタザウルスを作り出したのか、その辺ははっきりしないんだけどね。
当然、町は逃げ惑う人たちでパニックになった筈だが、そんなモブシーンを撮る予算がないので、さっきのJCたちが、校舎の周りを笑いながら走っているシーンが2カットほど出て来るだけである。
なにしろめっちゃビンボーな作品なので、大目に見てやってつかぁさい。
ナレ「LTDT、ライト・テロストリアル・ディフェンス・チーム……地球を軽く防衛しちゃう勇者たちの集まりである」
ここで、怪獣モノに欠かせない、怪獣やっつけ隊の戦闘機が出撃して攻撃を開始するが、あっさり叩き落される。
後には専用の戦闘機も登場するが、ここではただのF15みたいな汎用戦闘機が出て来るだけで、隊員たちが乗っている描写もない。
やがて、LTDTのトビヤマ隊長がひとりで駆けつけ、
トビヤマ「校舎内には誰もいませんね」
オオタケ先生「は、はいっ」
アサミ「大変、イコがいないの」
トビヤマ「なにっ」
ペンタザウルスは、逃げ遅れたイコを見付けて追いかけ、叩き潰そうとするが、
イコ「助けて、お願い!!」
スーパーインカムに必死に祈ると、ペンタザウルスが腕を振り下ろした瞬間、イコの体がふわっと浮いて、学校の屋上まで一気に飛び上がる。

イコ「やめてよ、なんでこんなことするの?」
イコは、スーパーインカムを通して、怪獣との対話を試みる。
イコ「私が何か意地悪した?」
スーパーインカムの力か、イコに叱られた怪獣は、面目なさそうに頭を掻く。
イコ「何にも関係ない人たちに迷惑掛けたりすることは、いけないことよ、大きな体なら、大きな体なりにふさわしいところで暴れて、ね、お願い」
イコが、自分で呼び出しておいて良く言うぜ的な説教をすると、怪獣は何かを訴えるように首を横に振る。
イコ「え、何もこんな体で生まれて来たくなかったって? うーん、そっかぁ、じゃあもっと体が小さくなればいいのね」
イコがもう一度スーパーインカムに祈ると、

怪獣はその本来の……あわわ、人間の大人ほどのサイズに縮小される。
イコ「怪獣さん、今度こそ平和に暮らしてね」
ペンタザウルスは、イコにぺこりと一礼すると、敷地内の土の中に潜り込み、姿を消す。
イコ「良かったぁ」
アサミ「イコ、大丈夫?」
イコ「え、平気よ、なんでもないわ」
アサミ「イコ、あんた今日どうしちゃったの?」
イコ「えっ、何が」
アサミ「だって、今、あんなにジャンプして……水泳の時間から変だったけど」
アサミは心配そうにイコの顔を見詰めるが、イコはこともなげに、
イコ「何言ってんの、幻よ、幻」
アサミ「幻ぃ?」

イコ「そう、気が動転してて、ありえないものを見た気になったのよ。お騒がせしました、それじゃそういうことで」
そう言うと、ポカンとしている友人たちを尻目に走り去る。
……
やべぇ……普通に可愛い。
作品自体はずっと前から見てる筈なのに、今までこの真価に気付かなかったとは……ワシもまだまだ未熟よのう。
イコが人気のない場所まで来ると、写真の中からモロケンが話し掛けてくる。
モロケン「危ないところだったね、これはお願い事がなんでも叶うスーパーインカムなのさ。君が正しいと思ったことならなんでもそれを通してお願いしてご覧、可能になるはずだ」
イコ「ほんと?」
モロケン「ただし、さっきみたいな物騒なお願いはごめんだな。しかし、それに頼り過ぎないでくれよ、普通の優しい女の子であるだけで、君はもう十分エスパーなんだからね」
翌日、イコが家に帰ってくると、あのトビヤマが来ていて、両親と話していた。
昨日のイコの活躍を見て、LTDTにスカウトしたいと言って来たのだ。
イコは迷うことなくOKし、両親も、学校にちゃんと通うと言う条件で許可してくれる。
「2」では、入隊の際に様々な試験が行われていたが、「1」ではイコは即座に正式な隊員として採用され、LDTDの作戦室に来ている。

トビヤマ「ああ、諸君、今度入隊した河井君だ。ひとつよろしく頼む」
イコ「河井イコです、よろしくね」
普通は、新入隊員の方からひとりひとりに挨拶すべきだと思うが、

コズミ「コズミです」
イコ「はい」
ここでは逆に、先輩隊員たちがひとりひとりイコの前に来て挨拶することになる。

ニイツ「ニイツです」
イコ「はい」

ウキヤ「あ、ああ、ウキヤですが」
イコ「はい」
このウキヤを演じるのは、実は作家の
えのきどこういちさんなのだが、演技力に関しては、他のキャストとあまり差がないのがちょっと悲しい。

ユミ「ユミよ、頑張ってね」
イコ「はい」
嬉しいことに、ちゃんと女性隊員もいて、これがなかなか可愛いのである。
演じるのは菅原弓子さん。
ひととおり自己紹介が済んだ後、
イコ「誰がウルトラマンなんですか?」
隊員たち「ええっ?」
いきなり爆弾発言をかますイコ。
イコ「だって決まってるでしょ、地球防衛隊のひとりは必ずウルトラマンが変身してるって……私一回ウルトラマンが変身するとこ見てみたかったの」
フィクションと現実をごっちゃにしたイコの言葉に隊員たちは「やれやれ」という顔になり、
ニイツ「あのね、イコちゃん、あれはテレビのお話なの、これは現実なんだから、もっと真面目にやって頂戴」
イコ「なーんだ、つまんない」
今更だが、イコの制服、どうせなら、下はミニスカにして欲しかったなぁ。
トビヤマ「ああ、ニイツ、イコ君に基地内を案内してやってくれ」
ニイツ「ええっ、隊長、勘弁してくださいよ、若い女の子の相手はどうも苦手で」
ニイツ、何を血迷ったのか、そんな美味しい任務を辞退しようとするが、

イコ「あら、LTDT隊員となったからには男も女も関係ないわ、そうですよね、隊長?」
やべぇ……このちょろっと出た舌がやべぇ……
トビヤマ「そうだ、行け、ニイツ」
ニイツ「はぁ」
イコ「しっかり頼むよ、ニイツ君」
イコは先輩ぶった口調でニイツの背中を思いっきり叩く。
と言う訳で、ニイツはイコを連れて基地の中を案内して回るのだが、何しろ金がないので、ロケもひとつの建物の同じ通路が繰り返し使われており、その合間に、戦闘機の格納庫などのミニチュアセットが映し出されるだけなので、

最後に出てくる、射撃訓練場のシーンだけ貼っておく。
ここがLTDTの射撃練習場であり、断じて廊下の角ではないのである!!
とは言うものの、せめて、背後の排水管くらいは、段ボールか何かで隠して欲しかったな、あたい……
なお、誰も興味はないと思うが、訓練の結果、ニイツが75点でハイライト4つ、スーパーインカムでインチキしたイコが100点で山ほどチョコレートをゲットしている。
ここで皆さんは、
「パチンコかいっっっ!!」 と、全力でツッコミを入れましょう。
その2へ続く。
- 関連記事
-
スポンサーサイト