第54話「さらば筑波洋! 8人の勇者よ永遠に…」(1980年10月10日)
遂に、遂に最終回であります。記念すべき第1回目は2012年の12月22日に書いているので、えーっと、約15ヶ月に及ぶ長期連載(?)となった訳だ。
我ながら飽きずによく書いてきたものだと感心する。パチパチパチ(自分で拍手)
ユミ役の巽かおりさんが可愛いと言う、不純な動機から出発したのだが、無論、作品そのものが面白いから続けられたのだ。
さて、前回の最後に大首領が暴れ出し、それが都心にまで及ぶ地震になる。
ブランカでみんながテーブルの下に避難していると、いきなりがんがんじいが飛び込んでくる。

が「ちょっと割り込みさせて!」
ユミ「向こう行ってよもう、天下のがんがんじいが情けない声出さないで!」
アキ「そうよー」
が「だって地震、雷、火事、オヤジ、この4つは大の苦手やねん」
アキ「アリコマンドが抜けてるわよー」
が「アリコマンドなんか怖いことなんかないわい!」
アリコマンド(ネオ・ショッカーの戦闘員)って、オヤジより下なのか?
長い揺れも漸くおさまる。
ナオコ「ねえ、マスター、洋さん、お父さんお母さん見付けられたかしら?」
ユミ「無事なら無事と、連絡してくれればいいのよ」
今回は、ユミちゃんの台詞が多いのが嬉しいのである。
が「もし何ぞあったらこのがんがんじい様がすぐに助けに走るやないか、大船に乗ったつもりでどーんと……」
勇ましいことを言うがんがんじいだが、ちょうど上から観葉植物の鉢が落ちてきて頭に直撃し、ひっくり返る。

その様子に大笑いする三人娘。ユミちゃんの笑顔は、これが最後かな。
そこへ一文字隼人と、城茂が二人して入ってくる。

2号ライダーとストロンガー、夢のツーショット。
二人はスカイライダーにちょくちょく客演しているが、劇中で俳優(佐々木剛と荒木茂)が共演するのはこれが最初だっけ?
茂「洋はお母さんを助け出して、ネオ・ショッカー本部から脱出はしたんですが……」
ナオコ「わぁ、洋さんのお母さん無事だったんですか、良かったぁ」
さて、そのネオ・ショッカー本部では、大首領が矢継ぎ早に命令を出していた。
まずドクロ暗殺隊に洋の抹殺と、洋の母親の奪還を命じる。
ついで、科学者達には
「日本を乗っ取るV作戦を開始する。酸素破壊爆弾を用意しろ」と指示。
「暗黒星雲の宇宙怪物」のくせして、なぜ極東の小さな島国に拘るのか、それはこれが日本で作られたドラマだからである(そりゃそうだ)。

隼人と茂は、それぞれ変身ポーズを決めてとりあえず走り出す。
その途中、他のライダーたちも合流して行く。
1号「メキシコから到着」
V3「ギリシャから到着」
X「エジプトから到着」
ライダーマン「南アフリカから帰ったぞ」

アマゾン「ペルーから到着」
何故か、アマゾンだけ遅れてやってくる。
二人以外は、声も全員オリジナルとは別の人があてている。
1号は池水通洋、Xは河原崎洋夫(ドクロ暗殺隊と同じ声)、ライダーマンは曽我部和行などとなっている。
本来なら1号が音頭を取るところだが、オリジナルキャストではないので、代わりに2号が「みんな聞いてくれ。大首領が日本を侵略基地にするために自ら行動を開始した。俺たちがスクラムを組んで奴の野望を打ち砕くんだ」と、号令をかける。

本部では、巫女のような格好をしたアリコマンドが大首領に食事を捧げるが、大首領は無言でそれをひっくり返す。
ア「ダメだ、大首領様はあの女に逃げられたのをお怒りなさって決して食べようとしない」
ア「大首領様は筑波洋の大切なものを自分の意のままに支配なさりたいのだ」
話しながら片付けるアリコマンドたち。
ちなみにメインディッシュは、
「ブタの親子の二段重ね丸焼き」と言う悪趣味な料理だった。
そこへ科学班の二人がやってきて報告する。

科「大首領様、酸素破壊爆弾の用意が出来ました」
大首領「ようし、ただちに東京上空へ向けて発射しろ。
ところでお前また太ったか?」
部下の体調管理にも心を配る大首領であったが、嘘である。
酸素破壊爆弾は、バルーンに吊るされて魔神湖から浮上、東京上空へ到達する。
ブランカのみんなも何事かと外へ出て空を見上げる。そこへ隼人と茂もやってくる。
大首領の声「仮面ライダーに告ぐ、24時間以内に姿を現し、ネオ・ショッカーの支配下に入ることを承諾せよ。さもなくば酸素破壊爆弾を爆発させるぞ」
隼人「酸素がなくなればお前たちも生きてはいられないぞーっ!」
大首領「ははははっ愚かなり一文字隼人、酸素などは必要ないっ」
茂「大首領、姿を現せ!」 
茂の求めに応じ、即座にその姿を見せる大首領。いちいち隼人のツッコミに反応したり、結構フレンドリーな奴である。
一斉に逃げ出す(5、6人の)都民。
茂「谷さん、みんなを連れて避難してください!」 谷「お前がいらんこと言うからだっ」(念の為、嘘です) もっとも、それはただの幻影で、実害はなかったのだが。
さて、みんなが捜している洋、波の打ち寄せる砂浜を、母親を背負って歩いていた。

洋「子供の頃の俺は母さんの背中に負ぶさって眠るのが好きだった。母さんの背中はどんなゆりかごより温かかったよ」
母「今は母さんがあんたの背に揺られてるのね。あの洋がこんなに逞しく成長するなんて……」
「あの洋」って言うけど、生き別れた時点で、もう洋は大学生だったと思うんだけどね。別れた時とあんまり変わってないと思うが。
そこへ、ドクロ暗殺隊が現れ、襲い掛かる。怪人ほどではないが、通常のアリコマンドより遙かに手強い敵に苦戦するが、ちょうど隼人がバイクで突っ込んできて加勢し、何とか全滅させる。
洋「一文字さん、俺はとりあえずお袋を安全なところへ連れて行く。それから駆けつけるよ」
隼人「そうか……」
洋「すいませんが、先に行ってて下さい」
隼人「よし、わかった」
洋の心情を思いやり、隼人は無理強いせず走り去って行く。
洋の母親は「洋、すぐ行きなさい、あたしは大丈夫よ。早く行ってみんなと手を合わせて戦いなさい。死んだお父さんもきっとその方が喜ぶわよ」と、息子を諭す。
洋「母さん……」
と、倒した筈のドクロ暗殺隊のリーダーが起き上がり、ボウガンを放つ。
だが、矢は洋と抱き合った母親の背中(脇の間にしか見えんが)に刺さってしまう。怒り狂った洋はリーダーをボッコボコにする。

折角助け出された母親、洋の胸に抱かれて絶命する。
「洋、お聞きなさい、完璧に見える大首領にも急所があるんです。その急所は右足の裏にあります。あたしは召使にされていたときに偶然に気付いたんです……洋、行きなさい、早く行きなさい」と言う言葉を残して。
洋の母親、「偶然に気付いた」と言うが、どういう「偶然」でそんなことを知り得たのだろう。大首領が彼女の前で押しピンでも踏ん付けて「俺、右足弱点なんだよねー」とか言ったのだろうか。
洋、母親の命を奪ったボウガンを掴み、海に向かって「かあさーん」と叫ぶ。てっきりボウガンを放り投げるのかと思ったら、握ったままであった(伏線)。
後編に続く。