第13話「少年殺し屋のバラード」(1977年4月27日)
珍しく高校の下校シーンからスタート。

女子高生の美枝子(谷川みゆき)が、友達と二人で公園の中を歩いていると、赤、オレンジ、青のお揃いのシャツを着た不良高校生が現れる。
A「おい俺たち金が欲しいんだがなぁ」
B「ひとり頭3000円、痛い目に遭いたくなかったら出しな!」
美枝子「いやです!」
だが、彼らは、美枝子の背後にウクレレ(?)を手にした男子高校生がいるのを見て怯む。
A「や、山村京介!」
京介「そうさぁ、山村京介さ、それがどうしたよ」
京介に凄まれると、不良たちは一目散に逃げ出す。
顔見知りらしい美枝子は笑顔で駆け寄って「ありがとう京介君」とお礼を言う。美枝子の友達はさっさとひとりで帰ってしまう。
しかし京介は美枝子に対し「俺が助けてやったんだぜ、3000円出せよ」と迫る。
美枝子「京介君、それじゃ今の不良高校生たちとちっとも変わらないじゃないの」
身を震わせながら叫ぶ美枝子。
京介「そうさ、俺は不良よりももっと悪い、人殺しなんだからなっ」 そこへ数人の街の住民が湧いて出て、口々に京介を非難する。だが、すぐにいつもの下っ端戦闘員が湧いて出て、住民たちをボコボコにする。
戦闘員「おぼえときな、さそり組の京介に逆らう奴はこういう目に遭うんだぜ」
ここでやっとギターの音が聞こえ、早川が登場。
早川「女子供をいじめるのはヤクザの中でもC級だぜ」
早川はザコを片付けた後、京介を誘って帰ろうとするが、そこへ矢が飛んできて傍らの幹に突き刺さる。
早川「出てきたな三郎太……時代をお間違えじゃございませんか」
彼らの前に尺八を吹く虚無僧が現れる。
三郎太「ワシの名を知っているとは見上げた心がけだ」

早川「さそり組のボス、毒さそりの用心棒、ただし、
尺八ボウガンの腕は日本じゃあ二番目だ」
お決まりの台詞を吐く早川。
三郎太は
「なにっ、ワシの他に日本一がいると言うのか?」と驚くのだが、この場合、
「なにっ、ワシの他に尺八ボウガンを使う奴がいると言うのか?」と驚くのが正解だろう。
なんだよ、「尺八ボウガン」って……。
後は当然、公園に舞台を移して技比べ。

気になるその「尺八ボウガン」なのだが、これが尺八にボウガンを取り付けただけと言う安直極まりない代物であった。尺八もへったくれもない、ただのボウガンである。「尺八吹き矢」とかだったら、まだ分かるんだけどね。
まず先攻の三郎太。後ろ向きのまま矢を放ち、一旦幹にはねかえしてから、ブランコに乗っていた子供の服を貫き、後ろの木に体ごと打ち付ける。
ギョッとする早川だったが、すぐに京介が飛んできて矢を抜き、「坊や、大丈夫か」と泣きじゃくる子供を慰める。京介は根っからの不良ではなさそうだ。

次は早川の番だが、今回は三郎太が標的を指定する。それは、球形の遊具の中に縛り付けられた美枝子であった。

遊具を回転させた状態でその頭の風船を狙えと言うのだ。
ただ、これだと三郎太と条件が違うから技比べにならないのではないかと。
しかし、こんなけったいな目に遭った女優さん、日本広しと言えども谷川さんだけだろうな……。
早川は更に、後ろ向きで打てと指示され、珍しく険しい表情になる。

ま、それでも、三郎太を上回る2回の跳弾、その途中で風船を射抜き、最後は三郎太の天蓋を貫くと言う、例によって神業クラスの芸当を見せる。
三郎太を演じるのは中井啓輔さんです。
その後、京介が商店街を歩いていると、道行く人々が「山村京介だ」「人殺しよ」などと目引き袖引きする。苛立つ京介はしばしば暴力を振るう。

その前ににこやかな笑顔の早川が来て、
早川「京介君、子供を助けてくれてありがとう」
と、東条がさっきの騒ぎを聞き付けやってくる。東条は京介を見て顔色を変える。
京介が去った後、東条は何故京介が街の人たちから恐れられているか説明する。
東条「山村京介はたった一人の父親を殺したと見られている……」 去年、京介の父親が銃で殺され、現場には銃を持った京介が立っていた。状況証拠ではクロだったが、物的証拠がなくうやむやになる。それ以来、京介は父親の遺産で学校へも行かずぶらぶらしている。起訴されなかったが、京介は人殺しと噂され、自暴自棄になっている模様で、最近、さそり組とも付き合いだしたらしい。

神社でたそがれていた京介に話しかけた美枝子だが、訳もなくひっぱたかれる。美枝子が泣いていると、早川が颯爽と現れる。
美枝子は京介を立ち直らせてくれと早川に頼む。
美枝子「出来るだけのお礼はします。ですから……」
早川「引き受けよう。お礼は……君のその涙でいい」 スカーフを外して、美枝子に差し出す早川。
京介は荒々しい口調でさそり組の毒さそりを呼び止める。
毒さそり「京介、お前の仇は取ってやったぞ」
京介「俺はお前たちさそり組には関係ない。どうして俺の味方ばかりするんだ」
毒さそり「お前が気に入ったからだよ、お前は自分の父親を殺すほど勇気のある男だ」
京介「俺はお父さんなんか殺しちゃいない」
毒さそり「街の人たちもそう思っているかな? 京介、さそり組に入れば、思う存分みんなに仕返しが出来るぞ」
早川は京介に近付こうとするが、三郎太が邪魔をする。早川は京介の件にさそり組が関与していることを察知する。

毒さそりは上司のLに報告していた。今回の目的はひたすら京介を孤立させ、さそり組に入れて、凄腕の殺し屋に育て上げようと言うもの。わざわざその為に京介の父親も殺したらしい。ご苦労なことだ。
後編に続く。