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横溝正史シリーズ2~補遺「女王蜂」「黒猫亭事件」「迷路荘の惨劇」

 
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 長きに渡ってお送りしてきた「横溝正史シリーズ」だが、紹介したいエピソードは全て紹介し終えた。ただ、まだ3本ほど残っているので、まとめて簡単に触れておきたい。

 そう言えば、最近漸く、「真珠郎」「不死蝶」「黒猫~」のDVDがレンタル解禁になったんだよね。

 さて、まずは2の6話目「女王蜂」から。

 同名の長編は通俗的ながら正史の代表作のひとつと目される力作だが、映像化作品にはあまり恵まれていない。ストーリー展開やトリック、キャラクターなどはそれぞれ魅力的だし、正史作品には珍しく、孤島→伊豆→東京→孤島と言うように舞台が次々変わっていく、旅情ミステリーっぽいところがあり、読み応えもたっぷりなのだが、映像化するといまひとつパッとしないようだ。

 市川崑の劇場版、このシリーズ版、古谷一行の2時間版、鶴太郎版、どれもこれも失敗している。最後に作られた稲垣吾郎版だけ、個人的にはとても気に入っている(ただし、不満も多い)。

 役所広司が金田一を演じたスペシャルドラマについては未見なので何とも言えない。死ぬまでに見たいものだが……。

 さて、シリーズ版では、予算や時間の都合上からか、舞台は月琴島だけに限られている。

 由緒ある大道寺家の長女・智子は、亡くなった母親の遺言で18歳まで島で過ごし、18歳になると同時に義理の父親である欣造のもとへ引き取られることになっていた。彼女の実の父親と母親との間には歴史ロマン溢れる悲恋と忌まわしい秘密が隠されていた。欣造のもとへ、智子を「次々と男を殺していく女王蜂だ」と名指しする脅迫状が届けられ、欣造は金田一に智子の護衛と事件の解決を依頼する。

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 ヒロインの智子を片平なぎさが初々しく演じている。当時、役と同じ18歳くらいか。

 義父の欣造を神山繁が演じているが、彼は半年前の市川版にも別の役で出てるんだよね。

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 重要な役の神尾秀子(智子の家庭教師)を岡田茉莉子が好演。若いなぁ。

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 欣造の後妻(?)の蔦代を、美熟女・岩本多代さん。

 駐在として、三谷昇氏がコミカルな芝居を見せているが、三谷さん、ほとんどの金田一シリーズに顔を出しているような印象を受ける。

 人物配置はかなり忠実で、他の作品で省略されることの多い智子の祖母・槇(マキ)をちゃんと登場させているのはえらい。

 遊佐の会話を秀子が盗み聞きするくだりなど、原作に忠実なシーンも多い。
 ただ、やっぱり孤島の中だけで話が終始するので、どうしてもこじんまりとした感じを受けてしまう。

 何よりダメなのは、

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 島に頼朝伝説の研究に来ている学生・多門(夏夕介)の扱いだ。

 好青年の多門、智子とは結構いい感じになるのだが、

 智子「あたしは女王蜂で、近付く人は殺されるって……」
 多門「そうかもしれない。あ、優しくて可愛い女王蜂がいるとすればね」
 智子「お願い多門さん、あなたにもしものことがあったら」
 多門「僕のことを心配して下さるんですか? いやぁ! 感激だなぁ……君のためだったら、殺されたって本望だ」

 4分後、

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 ほんとに殺されちゃう。

 いや、誰が殺されても良いけど、多門だけはあかんやろ。原作では最後まで生き残って、智子の伴侶になる重要なキャラクターなのだが。市川版では沖雅也が、稲垣版ではミッチーが演じていた。

 最後の金田一の謎解きも、原作の劇的な結末をほぼ忠実に移している。

 ただ、多門まで死なせてしまったため、事件解決後、智子はほんとにひとりぼっちになってしまう。もう少し明るい結末にして欲しかった。

 
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 続いて2の7話目「黒猫亭事件」。

 これは横溝正史の金田一作品3作目にあたる(だったっけ?)中篇を映像化したもの。戦後の荒廃した社会を舞台に、「黒猫」と言うバーで発見された顔なし死体にまつわるストーリー。

 原作は、「顔のない死体」「一人二役」「ダブルミーニング」「血痕の偽装」など、凝りに凝ったトリックで組み上げられた精緻なミステリーで、金田一シリーズでも屈指の名作である。

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 金田一の先輩で土建会社社長の風間は、「黒猫」のマダム・お繁と愛人関係にあったが、最近、お繁がしきりに「亭主に殺される」と訴えていた。

 風間を近藤洋介、繁子を太地喜和子がいかにも大人!と言う感じで熱演しているが、あまりに濃過ぎる気がするのである。二人の関係に力点を置いて描いているので、ほとんどメロドラマである。

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 風間に呼ばれて、事務所でタバコをもらってうまそうに吸う金田一。ウナギをご馳走になるなど、いかにも原作にありそうなシチュエーションであるが、ドラマオリジナル。そもそも原作では金田一は終盤になってやっと登場するのだ。

 しかし、既にお繁の顔なし死体が酒場の裏庭から発見されていた。

 金田一はお繁が本当に殺されたのかどうか、死体はお繁の亭主の愛人・鮎子ではないのか、などと想像を巡らしつつ、事件の捜査に乗り出す。

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 「黒猫」の裏手の寺の若い坊さんを、池田秀一が演じている。原作ではクルクルパーになっちゃうけど、ドラマでは殺されている。どっちにしても救いがない。

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 バーの女の子のひとりで、重要な証言をするのを小林聡子さんが演じている。彼女はシリーズ「犬神家」でも方言丸出しの可愛い女中を演じていた。

 なんか、樹木希林と小林聡美を足して2で割ったような顔だなぁ。

 個人的に不満点を挙げると、

 ・金田一が最初から捜査に加担しているのになかなか事件を解決できず、ボンクラに見える。
 ・犯人が最後に自殺しない。
 ・最後に金田一が風間に説教めいた忠告をしている。

 などだろうか。細かいことを言えばもっとあるけど。

 逆に、原作ではただ殺されるだけの小野千代子を血の通ったキャラとして描いてるのは好感が持てた。

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 ラスト、タイトルにもなっている黒猫を抱く金田一。ほのぼーの。

 最後の、2の9話目「迷路荘の惨劇」は、シリーズの最終話でもある。

 原作は横溝ブームの最中に過去の中編を長編化したものだが(オリジナルは【送料無料】横溝正史探偵小説コレクション(4) [ 横溝正史 ]で読める)、正直だらだらと長いだけで面白くはない。

 ドラマでは、それをほぼ原作どおり移しているが、ただでさえ少ないキャラを削っているので、ますますドラマに膨らみがなくなり、犯人探しの興味も半減してしまった。キャストは、三橋達也、浜木綿子、千石規子、仲谷昇、西沢利明など、それなりに豪華ではあるが、地味だ。

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 個人的には、タマ子役の秋谷陽子さんに期待するしかないのだが、残念ながら彼女もすぐに殺されて退場してしまう。残念。


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コメント

アレンジ「蝋人」・・・読む気も失せることでしょうが、続きです。
山惣の悪事を暴くことを今朝治と約束した真吉(以前のコメント参照)。が、その直後、山惣の手先集が襲ってきて今朝治を拉致。真吉はぼこぼこにされた挙げ句、放置され、病院行きに。

捕まった今朝治は山惣に折檻され、珊瑚の子供の父親がお前かと、問い詰められます。それに対し、今朝治は・・・
「珊瑚・・・マユミ(本名)は俺の妹だ!」

で、クライマックス、珊瑚を呼び出した山惣は、今朝治と共に二人とも刺し殺します。止めようとした真吉も返り討ちに遭い、ボロボロに。屋敷に警官隊(清子が呼んだ)が来たので山惣は逃げようとしますが、真吉に足を掴まれ、こけて自分も刃物の餌食になってしまいます。チ~ン。

最後、今朝治を救えなかったうえに身体中傷だらけになった真吉。
警察に辞表を出し、しばし療養の生活を送るのでした・・・。

というわけでアレンジ「蝋人」、これにて終了です。
はっきりいって実現する前から面白くないかも知れませんね。
原作ではなく、私のアレンジが。

Re[1]:横溝正史シリーズ2~補遺「女王蜂」「黒猫亭事件」「迷路荘の惨劇」(03/01)  

妄想大好き人間様
アレンジの中では、警察官が事件の後にだいたい辞めちゃってる気がしますが……。

二人が兄妹だったというのはいかにも正史っぽくて面白いですね。

しかし、最近は横溝作品もとんと映像化されることがなくなりましたね。

Re:横溝正史シリーズ2~補遺「女王蜂」「黒猫亭事件」「迷路荘の惨劇」(03/01)  

現在、小生は原作の“黒猫亭事件”を読んでおります。確かに、魅力的な人間程早い段階で殺されるのは残念ですね😔

Re[1]:横溝正史シリーズ2~補遺「女王蜂」「黒猫亭事件」「迷路荘の惨劇」(03/01)  

ふて猫様

「黒猫」は文句なしの傑作ですね。

横溝正史シリーズのサードシーズンが実現していたら…

もし、1979年ごろに横溝正史シリーズのサードシーズンが実現していたら幽霊男・支那扇の女・悪魔の寵児・暗闇の中の猫・睡れる花嫁あたりの中編や長編・短編作品がドラマ化されていたのでしょうね。ファンの間では本放送時「次の横溝正史氏シリーズでどんな作品がドラマ化されるか?」と予想があったか想像するばかりです。

>≧重要な役の神尾秀子(智子の家庭教師)を岡田茉莉子さんが好演しているのだが、若いなぁ。

>岡田茉莉子さんというと、マルサの女で演じた山崎努さんの愛人や角川映画版「人間の証明」の八杉恭子が印象深いですね。

岡田さんといえば、今朝訃報が報じられた大林宣彦さんが監督された「金田一耕助の冒険」でもカレーを食べているところへ麦わら帽子が飛んできて「昔のことは忘れようね」と男の子に語る女性を演じていますが、「迷路荘の惨劇」に出演された三橋達也さんが劇中劇で流れる映画に出てくる等々力警部役で登場し「よし、わかった!」ならぬ「よし、わからん・・・」というセリフを披露していました。

Re: 横溝正史シリーズのサードシーズンが実現していたら…

> もし、1979年ごろに横溝正史シリーズのサードシーズンが実現していたら幽霊男・支那扇の女・悪魔の寵児・暗闇の中の猫・睡れる花嫁あたりの中編や長編・短編作品がドラマ化されていたのでしょうね。ファンの間では本放送時「次の横溝正史氏シリーズでどんな作品がドラマ化されるか?」と予想があったか想像するばかりです。

想像するとワクワクしますね。

でも「悪魔の寵児」「睡れる花嫁」の映像化は無理じゃないですか?

自分的には「湖泥」「トランプ台上の首」「女怪」「首」あたりかなぁ。

非金田一なら、「びっくり箱殺人事件」とか。

> 岡田さんといえば、今朝訃報が報じられた大林宣彦さんが監督された「金田一耕助の冒険」でもカレーを食べているところへ麦わら帽子が飛んできて「昔のことは忘れようね」と男の子に語る女性を演じていますが、「迷路荘の惨劇」に出演された三橋達也さんが劇中劇で流れる映画に出てくる等々力警部役で登場し「よし、わかった!」ならぬ「よし、わからん・・・」というセリフを披露していました。

訃報を聞いて驚きました。残念なことですね。

ほんとは横溝正史シリーズもリテイクしたいんですが、ちょっと気力が……

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70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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