つづきです。
至近距離でスナイパーに麻酔銃をつきつけられ、窮地のいづみ。
だが、ここで今回2度目の「バイオフィードバック」が発動する。

石津(渡辺裕之)の
「バイオフィードバック、戦う意志がお前の肉体を最終兵器に……」と言う台詞もしっかり聞こえる。ひょっとして、
石津本人が近くに隠れていて、いづみに囁きかけてるんじゃないかと言う気もするが、あくまでいづみの頭の中でだけ響いているのである。
いづみはそれに抗うように「違う!」と叫ぶ。スナイパーはその声にギョッとするが、「発動」完了と同時に引き金を引く。ジェット噴射をしながらいづみに向かって飛ぶ注射器型の麻酔弾。

バイオフィードバック状態のいづみなら、それを素手で掴むことも可能だったろうが、絵的にもっと派手な方法が採られる。そばにあったドアのノブを持ち、蝶番を壊してドアごと自分の前に引っ張り寄せ、それで弾除けにするのである。
そして、拳でドアを貫いて、向こう側にいるスナイパーの顎を一閃。
ここ、高杉俊介さんが恍惚とした表情でぶっ飛ばされる様子が何回見ても笑ってしまう。
スナイパーはそのまま窓を突き破り、下に落ちる。もっとも、2階なので、それくらいでは死ななかっただろう。その後、組織によって回収されたものと思われる。

いづみの超人的パワーを目の当たりにした恵子と佐織。恵子は本能的に佐織を庇うように前に立つ。
だが、佐織が意外な行動に出る。いきなり土下座して、
「ごめんなさい、あたしいづみさんを罪に陥れるために嘘の証言をしました!」と、告白する。
佐織「あの日、偶然、いづみさんと麗子先輩の戦いを目撃しました……」
ここで3年前の回想シーンに移行する。
夜、工場の敷地のようなところで、高1のいづみと高3の麗子(大津和代)が戦っている。二人とも当時はバリバリの不良だったらしいので、つまらないことで喧嘩になったのだろう。

物陰から二人の様子を覗いている中1の佐織。
3年前、佐織はお下げ髪。佐織役の桂川昌美さんは劇中では三種類の髪型になるのだが、それぞれの髪型によって別人のように見える。

ポニーテールのいづみ。
当時、有名なワルで「アイスドール」と呼ばれていたいづみ、15才ながら18才の麗子をあっさり倒し、悠然と立ち去る。

その場に残った麗子だったが、背後から突然腕が伸び、ワイヤーのようなもので首を絞められ、実に呆気なく死んでしまう。
佐織は慌てて逃げようとするが、麗子を殺した犯人が彼女の口を手で塞ぎ、
「今見たことは忘れろ。麗子を殺したのはいづみ、五条いづみだ、いいな?」と、強要する。ま、シルエットにはなっているが、石津だとバレバレなんだけどね。
しかし、組織のナンバー1とまでは行かなくても、最高幹部のひとりだった石津ともあろう者が、わざわざこんなところまで出張って、自分の手を汚すだろうか? いくら実験材料としてのいづみに期待していたとしても。それに、誘拐する前にいづみを殺人犯に仕立てるのは、別に絶対必要な工作とも思えないんだけどね。普通に誘拐してしまえば良いだけのことだ。不良のいづみが行方不明になったからって、警察もそんなに真剣に探したりはしなかっただろうし。
それはともかく、佐織は唯々諾々といづみが殺人犯だと偽証をしてしまったらしい。

佐織「男の手は氷のように冷たかった。……あの冷たさは忘れない。本当に私が知っていることはこれだけです」
いづみ「みんな忘れてしまった方がいいわ」
いづみはほとんど表情を変えず、そう告げる。
佐織「えっ」
いづみ「あたなはまだやり直せるから」
佐織「何故私を? 憎んでいる筈なのに?」
いづみ「あなたも私と同じ、3年間、心休まる日はなかったでしょう。同じ傷を持つ人間を責めることは出来ないわ」 佐織「いづみさん……」
いづみの予想外に温かい言葉に、感動する佐織。すっかりいづみに惚れ込んでしまった様子。同時に、3年間抱えていた心のしこりがなくなったせいか、これ以降、彼女は別人のように自由闊達な女の子に戻る。

去って行くいづみを見て、
「あいつの心の中にはニトロが熱く燃えている」 と、かなり恥ずかしい台詞を言い放つ恵子さん。
恵子さん、大丈夫ですか? こんな
大映ドラマっぽい台詞が毎回出てきたらちょっとイヤだなぁと思っていたが、幸か不幸か、これっきりだった。

後日、五十嵐いづみの「未完成」をBGMに、学校から例の埠頭まで走り続ける恵子。
いづみは、ダッフルバッグを抱えて突端に立っていた。

いづみ「過去を手繰る手掛かりの一つは消えてしまった。このまま街にいてもみんなを戦いに巻き込むだけかもしれない」
いづみはこの街を出て行くつもりだったらしい。
恵子「決着が付いちゃいないじゃないか。それまであんたを街から出さないよ。勝負はゆっくり付けようじゃないか」
いかにも恵子らしい言い回しでいづみを引き止める。無論、恵子は既にいづみには勝てないと分かっているだろうから、単なる方便である。
無言で手にした封筒を渡し、さっさと走り去って行く。
いづみ、封筒を開くと、中には晴海学園への編入申請書が入っていた。恵子からのプレゼントに思わず微笑むいづみ。これによって、3話であっさりといづみは晴海学園に復学することになる。実際は、既に死んだことになっているいづみが簡単に高校に戻れるとは思えないんだけどね。学費だってかかるし。

カメラが引くと、その様子をビルの窓から観察している石津のシルエットがあった。
石津「プロトタイプ、見事安住の地を見付けたか。しかしお前のテストは始まったばかりだ。最終兵器としてお前が目覚めた時、
この街は戦場になる」
1話に続き、しつこくこの街を戦場にしたい石津さん。しかし、いづみは既に3回も「目覚め」てるんだけどね。その割に、街は概ね平穏であった。

今回の予告編ナレは、恵子と佐織の掛け合い。
ただし、映像はいづみが三人の敵と教室で戦っているシーンのみ。しかし、これは本編には存在しないシーンなのだ。思うに、3話の撮影が遅れていて、本編映像が間に合わないので、とりあえず先に予告用のイメージシーンを撮ったのではないだろうか?
DVDのブックレットで、メインライター我妻氏が当時の事情を語っておられるが、1話の視聴率が予想外に悪く、慌てて「テコ入れ」として学園のシーンを増やしたらしい。3話は学園が舞台になっているが、急遽シナリオを書き直したのではないだろうか? その影響もあり、撮影が遅れてしまったと見るのは穿ち過ぎだろうか。
それにしても、くどいようだが15話で打ち切りと言うのは、あまりに悲しい。せめて2クールは踏ん張って続けて欲しかった。