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探偵・神津恭介の殺人推理6「私は殺される」 後編


 続きです。

 ネタバレ注意!

 警察に取り調べられる漆田夫人。状況から、警察は夫人の供述通り、漆田が彼女を殺そうとしたのだろうと考える。また、ひとみの殺害を依頼したのも漆田だとして、やや強引に事件に幕を下ろそうとする。

 一ヵ月後、東京拘置所から保釈が認められて出てくる漆田香子。漆田の甥の水上が出迎えてくれる。起訴はされるらしいが、正当防衛で無罪だろうと水上は請け負う。

 また、漆田に代わり、急遽水上が「黄昏の海」のプロデューサーとして撮影を継続していることが分かる。

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 自宅に帰ると、いかにも田舎から産地直送されてきたと言う感じの若いお手伝いさんが待っていた。

 水上の郷里から女優になりたくて上京して来たと言う木原泰子であった。

 神津は警察とは別に独自の捜査を着実に進め、また、ビデオカメラでしきりに何か撮影している様子。

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 ラブホテルで誰かを待っている水上。

 やがて入ってきたのはいかにもカツラの金髪を被せた女性。

 水上「おお、マイハニー」
 と、両手で投げキッスを送る。

 しかし翌日、その部屋で水上が毒殺死体となって発見される。

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 神津は、妹の信子と二人でそのラブホテルの一室に入り、事件の手掛かりを探す。
 神津「信子、はしゃぐのは良いけど、邪魔だけはするなよ」
 信子「はーいはい」
 そう言いながら、兄の乗っているベッドを回転させて大喜びの信子、可愛い。

 警察では当然、水上と会っていた女性を容疑者と考える。金髪や、フロントにカタコトの日本語で電話してきたことなどから、
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 まず、マイケルのマネージャーのシルビアが疑われる。

 この人、日本人にカツラを被せただけの安易なニセ金髪にしか見えないのだが、英語しか喋れないらしい。
 ただ、クレジットにそれらしい名前があったので、ハーフなのかもしれない。

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 続いて、若い女性と言うことで、沙織も取調べを受ける。

 沙織「あっは、あたしが水上さんと? 残念でした。一度も口説かれたことなかったわ。彼セクシーだもの、チャンスがあったら寝てみたいなぁなんて空想もしたけどねえ……あは、やあだ、空想よ、空想!」
 この、常に酔っ払ってるような独特のキャラクター、いいなぁ。

 刑事(ウルトラマンAの高峰圭二)にアリバイを聞かれると、
 沙織「あ、お家でジャニーと遊んでた」
 刑事「ジャニー?」
 沙織「スコットテリアのメスよ、とぉっても可愛いの、あたしがキスしてやるとね、クゥンて鳴いて喜ぶの」

 その後、香子もアリバイを聞かれるが、彼女はその晩、ずっと2階の自室にいたといい、お手伝いの泰子もそれを証言する。だが、泰子は翌朝まで香子の顔を見ていない……。

 シルビアのアリバイは確認され、捜査線上には沙織と香子が残る。で、何故か、急に香子の家に家宅捜索が掛けられるのである。さすがに、この段階で家宅捜索と言うのは無理があるけどね。

 ところが、香子の家から、彼女に不利な物証が次々と出てきて、程なく逮捕状が出される。香子は罪を認めたように大人しく連行されようとするが、そこで堪え切れなくなったように泰子が警察に隠していたことを告白する。

 泰子によれば、実際はその晩、監督の橋爪がやってきて香子と二人きりで過ごしていたと言う。香子は外聞を憚ってそのことを話さなかったのだ。松下警部は尚も、橋爪と共謀して、香子が2階から抜け出したのではないかと追及するが、

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 泰子「あたし、あたし、恥ずかしいことをしてしまいました!」
 と、悶えるように叫ぶ。

 泰子は憧れの女優だった香子と監督がどんなことをしているのか気になり、ドアの前で盗み聞きしていたのだ。彼女によれば、確かに中から二人のあられもない睦言が延々と聞こえてきたと言う。

 香子「やめて、やめて!」
 思わず耳を塞ぐ香子。

 結局、アリバイが成立したと言うことで香子は逮捕されずに済む。

 一方、神津の「撮影」は順調に進み、

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 時には、信子にこんな格好をさせて協力してもらったりもしていた。

 死ぬほど似合ってねえ

 愛する信子に「どう、研三さん、似合う?」と聞かれ、さすがの大和田獏も思わず口ごもる。それでも心を鬼にして「デートはお断りです!」ときっぱり答えるのだった。

 いよいよクライマックス、ドラマの完成を祝い、出演者やスタッフが漆田邸に集い、完成披露試写会が催される。

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 最初は普通のドラマだったが、途中から全然関係のない映像……神津がコツコツ溜め撮りしてきた今回の事件の再現映像になる。

 そこでは、香子に扮した信子が、殺し屋(研三)に夫の写真を渡しているシーン、夫(研三)を刺し殺してから神津に「殺される」と助けを求める電話をかけているシーン、水上(研三)とラブホテルで会い、ビールに毒を入れて殺すシーン、自宅の2階に戻ってきて橋爪(研三)と抱き合っているシーンなどが映し出され、一連の事件が全て香子と橋爪によるものだったと暴露されていた。

 その後、警察も入ってきて、改めて神津が二人の犯行について説明する。

 要するに、度重なる虐待、屈辱に耐えかねた香子が邪魔な夫を殺そうとしたのが全ての始まりだった。最初は殺し屋に依頼したが失敗し、今度は正当防衛を装って殺害。
 だが、それを甥の水上に見られてしまったため、彼にゆすられることになる。

 水上がプロデューサーの後釜に座ったのも、その為だったのだ。
 さらに、水上は香子の肉体も要求するが、香子は愛する橋爪の協力の下、アリバイを作ってからニセ金髪になってホテルへ行き、水上を油断させて毒殺したのだ。泰子が聞いたのは、二人で予め録音しておいた「自家製エロテープ」だったのだ。

 例の脅迫状も香子が自分で出していたもの。

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 殺し屋を始末したのも、男装した香子だった。

 神津は単なる推論だと否定する橋爪に、数々の物証を示し、遂に二人は観念する。

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 最後、意味ありげにブランデーのグラスを弄び、神津を見る香子。

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 神津はハッと何かに気付いたようだったが、視線を合わせるだけで、彼女を止めようとしない。

 香子はグラスに口をつけようとする。神津は思わず目を背ける。そう、香子はブランデーに入れた毒で自殺するつもりなのだ。

 ……だが、意外にも松下警部がそれを制止し、哀れ香子はそのまま警察にしょっ引かれる。

 事件解決後、神津たちは三人で街をぶらぶら歩く。

 研三「我が青春のマドンナがあんな凄い悪女だったとはなぁ」
 神津「悪女? 私はそうは思いたくないねえ。彼女は悪い運命に翻弄された悲しい女だと思うよ。だからって訳じゃないが、せめてあのまま死なせて上げたかった」
 信子「優しいのね、お兄さん!」

 こうして事件は解決するが、あまり後味は良くない。

 最後の事件解明シーンが長過ぎて、段々犯人が哀れに見えてくるからだ。元々、殺された漆田が異常性格者だったのが原因なんだしね。

 しかし、裁判ではあの「ああんうふん」と言う「自家製エロテープ」まで証拠として提出され、みんなで聞くことになるのだろうか? 死んだ方がマシなほど恥ずかしい。

 さて、この6作目、ドラマとしてはなかなか見応えがあるけれど、本格ミステリーとしてはトリックらしいトリックが使われていないのが難点だ。最終的にはごく普通の2時間サスペンスになってしまった。


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