fc2ブログ

記事一覧

遠藤憲一「多摩湖畔殺人事件」前編(2012年7月18日更新)


 珍しく2時間サスペンスの新作を見る。テレビ東京の水曜ミステリーだ(7/18)。

 ところで、つい最近土屋隆夫の「天国は遠すぎる」を読んだのだが、内田康夫の「多摩湖畔殺人事件」は、これに着想を得てるんじゃないかなと、ふと思った。いや「多摩湖畔」に限らず、初期作品全体から、そう言う印象を受けた。○○でアリバイトリックを仕組んでるところなんかね。処女作「死者の木霊」なんかもそうだ。

 ま、最近は内田康夫も全然読まなくなったが、「多摩湖畔」は30年近く前のかなり初期の作品で、ミステリーとしては弱いが、車椅子少女と老刑事の交流が楽しい佳作だ。

 確か、マッチ主演などで過去に何度か映像化されていると思うが……山崎努だったっけ? まあ、2012年になって再度映像化されると聞いて、意外に思ったのは確かだ。

 ただ、老刑事役を、男盛りの遠藤憲一がやるというのを知って、「その発想はなかったなぁ」とちょっと感心する。

 PDVD_001a.jpg
 冒頭から、胃潰瘍か何かで治療を受けている河内部長刑事、通称河チョーが、多摩湖畔で死体が発見されたという知らせを受けて、現場に駆けつける。

 ドラマ化にあたって、登場人物に女性が増えているのが目立つ。河チョーの主治医は、原作では男だが、ドラマでは萬田久子がやっている。ワシは若村麻由美が良かった。

 PDVD_000a.jpg
 また、河チョーと組む若い平井刑事が、やたらでしゃばるのもドラマの特徴。原作では、当時で言う新人類っぽい若者の見本のような感じだったが、ドラマでは常にスマホを手放さない、態度のでかい現代的な刑事として描かれている。通称、スマホ刑事。

 PDVD_002a.jpg
 浅見光彦とならぶ名探偵である岡部刑事もちゃんと登場。ただし、このドラマではあくまで脇役である。河チョーのよき理解者。

 PDVD_003a.jpg
 被害者男性の娘が、本作におけるヒロインで、橋本千晶。演じるのは……名前、知らん。

 まあ、可愛いけど、原作のイメージよりちょっと健康的過ぎて、車椅子の美少女と言うベタな設定にはそぐわない感じ。悪くないけどね。

 PDVD_004a.jpg
 橋本家の家政婦。ええっと名前忘れたけど、いい女優さん。健忘症かワシは。

 彼女、要所要所で意味ありげな表情を抜かれているが、実際は、事件に何の関係もありません。

 PDVD_006a.jpg
 サブタイトル。

 しかし、これだとスケールの大きなトリック……たとえば、丹波と北陸をまたぐ死体移動トリックみたいなのがあるようで、いささか誇大広告。

 PDVD_007a.jpg
 スマホ刑事は得々として持論を展開し、被害者(小木茂光)の生命保険が巨額だったことから、遺族、つまり橋本千晶が犯人だろうと先走る。

 この辺、一介の平刑事としてはやや態度がでかくて、見てて違和感を覚えた。原作だと、平井刑事はあんまりやる気もない感じだったしね。まあ、遠藤憲一の泥臭さと、対比を強調させる狙いがあるんだろうが。

 千晶に亡き愛娘の面影を見てい河チョーは、当然その説に反対するが、かといって他に妥当な説もない。

 PDVD_008a.jpg
 河チョーの娘の遺影。演じているのは千晶役と同じ女優さんである。妻もない河チョーはひたすら孤独であるが、岡部警部がやってきて一緒に酒飲んだり、それほど湿っぽくはない。原作だと、ほとんど死にそうな河チョーだが、ドラマでは、単に医者嫌いで胃潰瘍を悪化させているだけで、死を予感させるような影がないのが大きな違いだ。

 原作だと、河チョーの娘が、岡部に惚れていて、岡部もそれを知っていたという微妙な人間関係が下敷きにあるが、ドラマではそこまで踏み込まない。原作と違い、岡部と河チョーの娘が、恋愛関係に発展するほど年齢が近くないというのもあるんだろう。

 PDVD_009a.jpg
 遠藤憲一さん、いいわぁ。

 PDVD_010a.jpg
 遺体のポケットに残されていた数字のメモを頼りに、千晶はひとりで日本中に電話をかけまくり、遂に、酒田の海冥寺というお寺だけ、該当する電話番号があったという。

 原作でも、千晶の凄まじい執念が実を結ぶシーンだが、うーん、いまはどうなんだろう。警察の方でちゃちゃっと調べられそうな気もするが……。ただ、ドラマでは千晶が電話のチェックをパソコンで管理しているのが、ちょっと現代的なアレンジ。

 河チョーは、被害者が死ぬ前に丹波篠山に行くと千晶に明言していることから、方角違いの酒田に行ってもしょうがないと消極的だが、

 PDVD_011a.jpg
 千晶はだったら自分がその寺に行ってみると、実際に車椅子で斜面を下りようとして、河チョーに止められる。

 30年前だったら、身障者が腫れ物に触るような扱いだったのも分かるが、いまとなっては、車椅子の少女と言う一種の記号が、リアリティを持って伝わってこない憾みがあるが、こればっかりはしょうがない。それに、足が悪いだけじゃなく、千晶はそもそも病気がちという設定だからね。

 (マメ知識・原作だと、家政婦が千晶の病気について意味ありげに何か言いかけるシーンがあるが、結局明かされないまま小説が終わる。内田康夫もうっかり忘れていたと思う)

 で、千晶の執念に折れた河チョーは、ダメモトで、酒井に向かうのだった。

 こういう、ちょっとした手掛かりやダイイングメッセージをたぐっていき、真相に辿り着くというのは、内田康夫作品ではよく見られるパターン。もっとも、最近の作品は全然読んでないので知らないけど。


 う、こういうネタで引き伸ばしたくないが、とりあえず後編に続く。

 関係ないが、マッチ主演の岡部警部シリーズ、そこそこ面白かったなぁ。再放送してくれ。


 (2013/4/25追記・河チョーをカミチョーと誤記していました。まこちゃんさんのご指摘で気付き、直しました。まこちゃんさんありがとうございます)


関連記事
スポンサーサイト



コメント

文中、カミチョーとありますが、原作でもドラマの中でも河チョーと呼ばれています。カワチョーです。カミチョーというのは三作目の近藤真彦が岡部警部を演じたドラマで泉谷しげるが神谷という刑事を演じたからではないですか。
それと混同されていらっしゃると思います。

Re[1]:遠藤憲一「多摩湖畔殺人事件」前編(2012年7月18日更新)(10/24)  

わざわざご指摘ありがとうございます。割と根本的なところで間違っててお恥ずかしい(汗)。すぐ直しときます。

ところで、このシリーズの続篇が見たいものですが、無理かなぁ。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

zura1980

Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

最近のコメント

カテゴリー

カレンダー

12 | 2023/01 | 02
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

FC2カウンター