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遠藤憲一「多摩湖畔殺人事件」後編(2012年7月20日更新)


 続きです。
 ネタバレあり。


 被害者の娘・千晶の必死の願いにこたえ、河チョー(遠藤憲一)は、単身、酒田へ捜査へ向かうのだったが、その前にオンエア時のCM。

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 郷ひろみがハエや蚊と一緒に踊ってた。

 お前はそんな生き方しかできんのか。

 さて、秋田に着いた河チョー。

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 唯一の手掛かりである海冥寺と言う寺で住職から話を聞く。住職を演じるのはベテランの石田雄大さん。「不良少女とよばれて」で、笙子の尾行とかしてた人ですね(知るか)。

 その寺の広間が、碁会所として利用されていて、問題の電話番号はそこで使われているものだと判明する。河チョーは一旦、駅の構内に戻るが、

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 そこに、わざとらしく「丹波篠山」の観光ポスターが貼ってあった。つまり、被害者が娘に「丹波篠山に行く」と嘘をついたのは、これを見ながら電話をしていたからではないかと推理する。

 これはなかなかうまいアイデアで、感心した。原作では、咄嗟に行き先と反対方向を思い浮かべたとかなんとか書いてあるだけだったから。

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 さらに、ご丁寧に、こんなものまででかでかと貼ってある。さすがにこれは分かりやす過ぎるが、2時間サスペンスはわかりやすくなくては主婦が見てくれないのである。

 で、被害者の立場になってみて、碁会所の電話番号(がポスターに記載されていないのは不自然なんだけどね)を調べるのに104にかけ、慌ててメモを取ろうとして、

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 偶然、被害者の書いて破った箇所を見付けてしまう。

 さすがにこれも出来過ぎだろう。

 ちなみに原作だと、被害者は電話帳で番号を調べて、電話帳をメモ代わりにして破いて、それがポケットに残っていたということになっている。これも、ビジネスマンなら手帳を持ってないはずがなく、そんな無作法をするのは考えにくい。

 ドラマでは104で番号が流れるのを急いで書きとめようとして、咄嗟にカタログか何かにメモして破ったということにしてあって、こちらのほうが現実性があるけどね。

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 とにかく、被害者が丹波篠山ではなく、酒田に来ていたことを確信し、興奮する河チョー。さらに、駅の土産物屋で面白い顔のおばはんに話を聞くと、

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 確かにそういう客が来て、手毬のような民芸品を買って行ったことまで覚えており、さらに、待ち合わせていた男性と、つまり、それが犯人だろうが、連れ立ってどこかへ行ったことまで覚えていた。

 CMです。

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 金麦は、いつまでこの不愉快なおばはんを使うのだろうか。

 CMあけました。

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 河チョーはさらに捜査を進め、被害者の商談相手の素性を調べる。

 原作だと、1984年ということで、被害者と犯人の共通の過去が、戦争の空襲だったと思うが、ドラマでは30年近くのタイムラグを考慮して、山火事ということになっている。

 あとはするすると調査が進み、

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 小坂と言う男が浮かび上がる。演じるのは天宮良。

 どう考えてもこいつ犯人だが、

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 その奥さんにもきっちりテロップが出るのがいささか親切過ぎ。怪し過ぎる。

 まあ、このミステリーは、犯人探しと言うより、アリバイトリック打破がメインなので、あっさりネタばらしも許して貰えると思う。

 そして、警察は任意同行を求めてアリバイを確かめるが、彼は犯行当時、秋田のホテルに宿泊していたことが判明する。裏づけもとれたため、あっさり帰される。

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 河チョーは、そのうち胃潰瘍が悪化して、強制的に入院させられる。

 ただ、ベッドのそばにこういうおばはん(萬田久子)が付き添っているので、なかなか完治しない。

 河チョーはアリバイトリックを破ろうと、スマホ刑事にさらに突っ込んでホテルでの様子を捜査させるが、埒が明かない。

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 見舞いに来た岡部警部は、スマホ刑事が孤児で、だからもともと家族の情愛と言うものを信じられないんだと言う(だから最初に千晶による保険金目当ての殺人だと推理した)。

 知らんがな。

 無論、原作にはそんな記述はない。

 犯人が、ホテルから抜け出して千晶の父を殺したに違いないと息巻く河チョーは、病身を押して、ホテルへスマホ刑事とともに再調査に行く。

 原作だと、河チョーの激励を受けた平井刑事が、ひとりで手掛かりを掴むことになってるんだけどね。

 ざっくり書くと、犯人の共犯者が、犯人の身代わりとなってアリバイを作っていたのだ。原作だと、内田康夫の必殺技「○ー○○○ー○ー」が使われているが、ドラマでも基本的に同じ方法が採られている。

 ただ、原作だと、それがばれる手掛かりが、化粧(香水?)のニオイだったのだが、ドラマではタバコのニオイになっているのが面白い。これは、ちゃんと伏線が張ってあるので、納得しやすかった。

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 このドラマ、脇役の女性がみんなリアルなのがいいよね(つまり、意味もなく美人ばっかり出てこない)。

 (追記・それ以前に、原作を映像化するに当たって、キャラクターを女性に変更している点が目立つことを書き漏らしていた。河チョーの担当医、検疫所の職員、ホテルで証言をする従業員、これらすべて、本来は男性なのを女性に変更しているのだ)

 ここまで来れば事件は解決したも同然。

 その後、河チョーはひとりで犯人と対決し、吐血しながらも逮捕するのだった。よかったよかった。ここでも、被害者の買った手毬が重要な決め手として使われている。

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 原作だと、最後でも入院したままだが、ドラマでは死病と言うほどでもないので、こうして元気に車椅子を押している遠藤さん。

 あっと驚くようなトリック、犯人の意外性などについては物足りないが、原作が元々そうなのだからしょうがない。一方で、遠藤憲一演じる孤独な頑固一徹刑事と、車椅子の美少女との交流と言う、事件そのものより大切な部分がきっちり再現されていて、その辺は満足であった。また、細かい部分で原作を補強するところもあって、ライターの丁寧な仕事に感心する。

 橋本千晶と河チョーの登場する原作の長編はこれ1作だけだが、短編はいくつかあるので、是非それで続篇を作って欲しいな、と思うのでありました。



 (2013/4/25追記・河チョーをカミチョーと誤記していました。まこちゃんさんのご指摘で気付き、直しました。まこちゃんさんありがとうございます)


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コメント

お世話になります。とても良い記事ですね。
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Re:遠藤憲一「多摩湖畔殺人事件」後編(2012年7月20日更新)(10/24)  

毎度どうもです。

石田雄大さん、「あぶない刑事」では鑑識の安さん役が有名です←知るか(管理人様の真似)。

Re[1]:遠藤憲一「多摩湖畔殺人事件」後編(2012年7月20日更新)(10/24)  

妄想大好き人間様
懐かしい記事にコメントありがとうございます。
我ながら、この記事、気に入ってます。

鑑識の安さん、ナイスなキャラでしたね。

「遠藤憲一の多摩湖畔殺人事件」後編(2012年7月20日更新)  

管理人さん、こんばんは。

管理人さんのブログを読んで図書館で「多摩湖畔殺人事件」の原作を借りてみましたが、原作での「被害者と犯人の共通の過去」は「戦争の空襲」となっていますね。

原作でも、橋本千晶が「父が子供の頃、太平洋戦争の最中なんですけど長野市郊外のお寺に疎開していたことがあるんです」と河内に話すシーンがありますが、2012年に「戦争の空襲を体験した」だとタイムラグが生じるので「被害者と容疑者は山火事を体験した」に変更したのではないか?と思いました。

また、原作では「河内の娘・順子の死別に関するエピソード」が描かれており、「河内は父親として娘の最期の傍にいなかった」『順子の最期の言葉が「お父さんは?」だったことを医師から聞かされた河内は男泣きに泣いた。それ以来河内は一層職務に没頭するようになり、いつしか署内や犯罪者の間で鬼と言うあだ名が通用するようになった・・・』と言う文を読むと、この辺はドラマに取り入れても良かったのでは?と感じました。

Re:「遠藤憲一の多摩湖畔殺人事件」後編(2012年7月20日更新)(10/24)  

マシンX2000様
コメントありがとうございます。

>原作でも、橋本千晶が「父が子供の頃、太平洋戦争の最中なんですけど長野市郊外のお寺に疎開していたことがあるんです」と河内に話すシーンがありますが、2012年に「戦争の空襲を体験した」だとタイムラグが生じるので「被害者と容疑者は山火事を体験した」に変更したのではないか?と思いました。

仰るとおりです。結構昔の小説ですからね。

>また、原作では「河内の娘・順子の死別に関するエピソード」が描かれており、「河内は父親として娘の最期の傍にいなかった」『順子の最期の言葉が「お父さんは?」だったことを医師から聞かされた河内は男泣きに泣いた。それ以来河内は一層職務に没頭するようになり、いつしか署内や犯罪者の間で鬼と言うあだ名が通用するようになった・・・』と言う文を読むと、この辺はドラマに取り入れても良かったのでは?と感じました。

確かにその辺は割とサラッと扱われてましたね。
もっとも、自分は原作のそういう泣かせシーンはちょっとくどくて胃にもたれる感じなので、あのくらいでちょうど良かった気がします。

ちなみにこのシリーズ、3作目はもうないんでしょうかねえ。

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