第8話「悲しみのプロパン爆破」 
ブルドーザーの上でギターを弾いて持ち歌「二人の地平線」を気持ち良さそうに歌っている早川。
前回はメインライターの長坂氏がお休みだったが、今回は
「これが本物のズバットじゃい!」と言う氏の叫びが聞こえてきそうなシーンをぶっこんでくる。

その町では、ミッキー蛇山と言う胡散臭い男が市長選に出ようとしていた。若者達は彼が暴力団の組長であることを知り、彼を追い出そうと運動を行っていた。
その本部のプレハブ小屋で、みどりさんとオサム君がアンパンと牛乳をご馳走になっていた。どうやら行き倒れていたところを彼らに助けられたようだ。
だが既にプレハブ小屋にはミッキー蛇山率いる「まむし平和会」の組員によって、外部からプロパンガスが送り込まれていた。当然異臭がするが、オサム君が「ごめん、一ヶ月も風呂に入ってないんだ」と言ったため、彼らはガスに気付かない。
新吉と言う青年が外から写真を撮ると出て行った後、

みどりさんたちも、窓越しに早川の姿を見掛ける。
みどり「早川さんだわ、ほら、あのブルトーザーの上!」
二人は喜んで小屋の外へ飛び出す。直後、湯を沸かそうと女の子がマッチを擦ったため、

ガス爆発で小屋の中にいた若者は全員死亡すると言う、ハードな幕開け。
新吉はたまたまその瞬間を写真に収めてしまい、それが新聞に掲載される。
それを見ていた早川、何かに気付いた様子で新吉をつれて彼の家へ向かう。写真には、プレハブ小屋の後ろに人影が映っていた。早川はネガを引き伸ばしてそれが誰かつきとめ、犯人について聞き出そうとする。
しかし、まむし平和会が先手を打ち、既にネガは盗まれていた。
早川はすぐに事務所に殴りこみ、ネガを取り戻そうとするが、

地獄市「はいはいはいはい、はいはい、ちゃんとここに、おりやすよ!」
こんなのが出てきた。 演じているのは三夏紳さんだが、無論これは勝新の座頭市のマネである。で、これがまた良く似てるのだ。
早川「揉んでくれるのかい、地獄市」
地獄市「……はぁーれぇははははっ、お、おめえさん、あっしの名前を知ってるんですか」
早川「仕込み杖の凄腕だってことは知ってるよ。ただし腕前は日本じゃあ二番目だ!」
後はいつものように、用心棒との技比べのお時間。

次のシーンではいきなりこんなところに来ている。
ドラマではここから始まるから良いけど、実際は移動中、結構時間があるだろうから、どんな話をしていたのか、気になる(なるなよ)。
地獄市はまず、フィルムを放り投げて仕込み杖で切り、例のネガ部分だけを切り取ると言う技を見せる。まあ、盲目であることを考えればそれだけでも大したものだが。

早川の番の前に、近くから様子を窺っていたみどりさんが手下に見付かって連れて来られる。この時、ミッキー蛇山に胸を触られているように見える。
みどりさんの汚れのないおっぱいが……、嗚呼!(何が嗚呼!だ)

んで、地獄市、面白いことを思い付いたと、そのネガを舌で湿らせてからみどりさんの額に貼り付ける。
しかし、
座頭市のモノマネをしている人に、フィルムの切れ端を額に貼られると言う、
日本広しと言えども、こんな珍妙なことをされた女優さんも他にいないだろう。
地獄市はさらに手拭でみどりさんの額を巻いた上で、早川にネガだけ取り出して見せろとムチャクチャを言い出す。しかも蛇山は「条件を同じにしろ」と言い出して、早川にも目隠しをさせる。
ただ、地獄市の課題と、早川の課題とはだいぶ難易度が違うのだから、なんか釈然としない。

みどり「早川さん、あたしなら大丈夫です。早川さんを信じてます」
健気なみどりさん。髪型のせいか、ここのみどりさんはいつになく大人っぽく見える。
無論、早川がしくじるようなことはありえない。

見事、手拭だけ斬り、さらにネガを刀の先につけて見せると言う離れ業を演じる。
宮内洋さんは、こういう武道にもたしなみがあるので、何をやらせても様になるのだ。
……ただ、どっちにしても今回の技比べ、ちょっと地味だな。
約束どおり、ネガを取り戻した早川たちは早速ネガを引き伸ばすと、小屋の後ろに立っていたのは渚美樹と言う若い女性だった。彼女について具体的な説明はないのだが、恐らく金持ちのお嬢さんなのだろう。

自宅で絵を描きながら、ばあやと呼ばれる女性に、自分が目撃したことを警察に知らせるべきではないかと話している美樹。しかし、ばあやは後難を恐れて何も言わない方が賢明だと止める。
美樹を演じているのはご存知、二代目ミス・アメリカこと、萩原奈穂美さんです。

そこへまむし平和会の連中がやってきて、無残にも彼女の目を潰してしまう。

彼女が証言できなくなったので、蛇山は安心して選挙活動を行う。どっからどう見ても悪党なのだが、バカな選挙民は結構支持をしている感じ。新吉がひとりで彼はヤクザだと訴えても、逆に選挙民に小突かれるありさま。
蛇山「私も悪と暴力とヤクザと戦っていくまむし平和会の社長、ミッキー蛇山なのです」
選挙民「パチパチパチパチ」

正しいものが虐げられ、悪が喝采を浴びている状況に、無力感を味わう新吉と早川。
で、いろいろあって、蛇山は自らプロパン爆破や美樹襲撃を命じたことを認める。だが、早川は網に包まれたまま井戸へ落とされ、新吉も山奥へ連れて行かれて殺されそうになる。
あとは、早川がズバットになってズバッカーでやってきて、悪を倒すのみ。

用心棒の地獄市がズバットの前に現れるが、ここで、実はちゃんと目が見えていたことを明かす。うーん、これは、視覚障害者への配慮かなぁ?
30話でも、老婆の用心棒が、実は男が変装したものだったと言う配慮(悪人でも老人をズバットが殺するのはまずいから)がされていたけどね。

ラスト、美樹の目の包帯が剥がされ、
美樹「見える、治ったわ!」 さすがに安直過ぎないか? 病室にはみどりさん、オサム君、東条の姿があったが、早川はひとり、川べりでギターを掻き鳴らしていた……。
とにかく今回の見所は、ミッキー蛇山と地獄市のキャラに尽きる。冒頭の早川の登場シーンもいかにも「快傑ズバット」と言う感じがして好き。みどりさんの見せ場もある。
ただ、ゲストの萩原さんの出番が少ないのがとても残念だ。悪人に目を潰されるお嬢様と言う美味しい役どころなのに、潰された次のシーンではすっかり治っちゃってるしねえ。
ちなみに書くの忘れてたけど、ミッキー蛇山も、悪の大組織「ダッカー」の一員なのだった。市長になって何か悪いことがしたかったのだろう。
おまけ

予告で、みどりさんがネガを貼り付けられるシーンのカット、本編とは少し違うテイクである。全国78人の大城信子ファンは要チェックです。