「少女コマンドーいづみ」は、1987~88年にフジテレビで放送された30分のアクションドラマ。全15話。
当初は、スケバン刑事4として企画されていたらしいが、新シリーズとして華々しく始まったものの、視聴率がふるわず、1クールちょっとで打ち切られてしまった悲運の作品。
特に惹かれるものはなかったのだが、このブログのタイトルにもなっている「セーラー服反逆同盟」に通じるものがあり(主題歌はどちらもA-JARI)、去年思い切ってDVDを購入したのだ。んで、年が切り替わると同時に鑑賞スタート。

こちらがメニュー画面。
しかし、パケにも使われているこのいづみ(五十嵐いづみ)のイメージ映像は……、
ほとんど別人じゃねえか。AVじゃねえんだぞ。
物語は、謎の組織に拉致され、最終兵器としての過酷な訓練を受けた少女いづみが、洗脳される前に施設を脱出するところから幕開け。

とりあえず装甲車をバズーカ砲で破壊するいづみ。
なんでセーラー服を着ているのか、説明はない。
で、海を渡ってウォーターフロントへやって来たいづみは、謎の組織の正体を暴き、自らの過去を取り戻すために、孤独な戦いを開始するのだった。
もっとも、悪の組織の幹部で、人間の秘められた能力を引き出し、最強のコマンドにする「バイオ・フィードバック」計画を推進する石津(渡辺裕之)は、街を実験場にして彼女の戦闘能力をテスト、観察すべきだと主張しているので、すぐにいづみが殺されるようなことはない。

なお、サブタイトルは、最初に画面右下に小さく出て、

それが中央に飛び出すと言うカッコイイもの。

いづみはたまたま通り掛かったプールバーに入り、そこで、湯浅恵子(土田由美)と言う女子高生と出会う。
子分(山本恵美子/美人秘書S)「暴力だけがワルじゃない、初めてワルの世界に合理精神を持ち込んだ、闇の学生中央委員会会長、湯浅恵子、その人さ!」 恵子「よしなよ、照れるじゃん」
確かにかなり恥ずかしい肩書きですね。 彼女、最初はトゲトゲのついたカチューシャを取り外してそれを武器にすると言う、「スケバン刑事」を連想させるキャラで、いづみに戦いを挑むが、無論、いづみに完敗し、やがて彼女の親友になっていくのだ。

もうひとり、下級生の三枝佐織(桂川昌美)は、3年前、偽りの証言をして、いづみに殺人容疑の濡れ衣を着せた人物だったが、謎の組織に脅迫されてのことだったと判明、その後、レギュラーとなる。
他に湯江健幸、地井武男がレギュラーだが、うーん、あまりに地味な顔触れだ。
石津「バイオ・フィードバック、戦う意志がお前を最終兵器に変える!」 と言う台詞と共に、本来の能力を発揮するいづみは、超人的な戦闘力で敵を薙ぎ払うのだった。ま、戦う意志と言うか、大抵怒った時だけど。
しかし、そろそろ眉毛の太さが取り返しのつかないところまで来てるなぁ。 で、正直、最初見たときは、「これはないなぁ」と思ったものだ。とにかく若手俳優たちが下手過ぎて、ドラマとして鑑賞するのがつらいのだ。シナリオも、武上純希担当分はいいんだけど、それ以外のエピソードは、いかにも生硬で、未熟な感じだ。
練り込みの足らないシナリオを、棒読み女優たちが演じるのだから、かなりきつい。
もっとも、回を重ねるごとに三人娘の演技も安定してきて、シナリオも面白くなってきたが。あと、楽曲がとてもいいんだよね。A-JARIの「JUST FOR LOVE」、五十嵐いづみの「エスケイプ!」、どちらもとても良い曲だ。
既にサントラを注文(落札)してしまったほど気に入ってしまった。
アクションも、「反逆同盟」とは毛色が違うんだけど、かなりハイレベル。五十嵐いづみは、アイドルながらかなり激しいアクションも自分で演じていて、感心してしまった。まあ、アクションコーディネーターの上田弘司氏の力量に負うところが大であろうが。
なにより、溌剌としてひたむきな少女たちの姿がしっかりフィルムに焼き付けられている、そこが素晴らしいのだ。
管理人、彼らのぎこちないけれど真剣な演技を見ていると、いい年こいて胸が熱くなってくるのだ。
で、8話9話くらいまで見た頃には、すっかりメロメロになっていた。まあ、つい数日前のことなんだが。
五十嵐いづみ、と言うより、作品全体の雰囲気と言うか、そういう奴にね。
それで、全部見るのが惜しくなって、11話まで見てストップしている。で、また1話からもう一度見ているのだ。二度目に見ると、最初に気になった完成度の低さも、あまり気にならなくなっていた。
それにしても、視聴率なんてほんとバカバカしい数値だよなぁ。あくまで参考程度にすべきなのに、あたかも絶対的な指標として考えられている。作ってる方は商売でやってるんだから、しょうがないんだろうけど、そこはそれ、作品の真価を見通して、せめて2クールくらいは続けて欲しかった。15話とはあまりに短過ぎる。フジテレビのバカ!
と言う訳で、まだ全部見ていないのに、サイトを作ってレビューすることに決めた管理人であった。一方で、出来るだけ大勢の人にこの作品の良さを知って貰いたい気持ちもあるので、このブログでも、簡易版として紹介していくつもりである。……え、要らん? そうか……。しかし、
要らなくてもやる! ブックレットには、メインライターの我妻正義による長文回顧が載っていて、これはなかなか面白い。1年の予定が、15話で切られると言うのは、さぞ悲しかっただろうなぁ。
「反逆同盟」には及ばなくても、「スケバン刑事3」なんかよりよっぽど好きだけど、私は。