FC2ブログ

記事一覧

「男はつらいよ」レビュー 第17作「寅次郎夕焼け小焼け」(1976年)



 第17弾「寅次郎夕焼け小焼け」は、1976年7月24日公開。

 一部には、演劇界の重鎮・宇野重吉をゲストに迎えた本作をシリーズ最高傑作と推す人もいるようだが、管理人も最高とまでは行かなくとも、シリーズの上位に来る作品であることは否定しない。個人的には2か、12、15あたりかなぁ。

 ●作品鑑賞

 毎度お馴染み、寅次郎の夢は、ジョーズのパロディで、さくらさんまでがぶりとサメに食われてしまう。目が覚めると、釣りをしていたと言うオチ。

 PDVD_001.jpg

 公開は夏だが、物語は春先、満男が小学校の入学式を迎えたところからスタート。

 おいちゃんたちが、月日の流れる速さに慨嘆していると、ひょっこり寅が帰ってくる。そして、殊勝にも甥の満男に入学祝をやろうとする。おいちゃんたちは感激しきり。

 社長「いやぁ寅さんも成長したモンだよ」
 寅「ええ、皆さんにそう言われちゃうと、まさか500円ってわけにもいかねえか!」

 上機嫌の寅だったが、さくらさんが満男を連れて帰ってくると雲行きが怪しくなる。さくらさんは、入学式で寅の名前が出た途端、みんなが笑ったと言って涙ぐむ。要するに寅はこの界隈で、みんなからバカにされているわけだ。

 寅は怒って、おいちゃんたちと口論した挙句、家を飛び出す。ただし、今回はすぐ旅に出るわけではない。代わりに、飲み屋で無銭飲食をしようとしていた乞食オヤジ(宇野重吉)と知り合い、とらやに引っ張ってくる。

 PDVD_002.jpg

 翌日、寅は縁日にバイに来たものの、眠くてしょうがないので源ちゃんに任せて高いびき。

 惚れ惚れするような、人間のクズっぷりです。

 一方、宇野重吉は傍若無人にふるまい、おいちゃんたちから毛嫌いされる。ただ、とっとと叩き出せばいいのに、ちゃんとご飯まで食べさせてあげるところが人の良いところ。

 PDVD_003.jpg

 だが、外でウナギを食ってきて、そのツケをとらやに押し付けるあたりで、寅の我慢も限度を超える。

 ウナギ屋から渡された請求書を見て、

 寅「おーほー、ウナギと酒でもって600円か、勉強したな」
 さくら(小声で)「6000円よ」
 寅「そうだよ。……え? うそだぁお前……あ、100円、こ……」

 翌朝、宇野重吉に説教するが、そこでようやく、宇野重吉はそこが宿屋でないことに気付く天然ぶりを発揮する。で、迷惑料を捻出するため、スケッチブックに筆でさらさらと絵を描き、それを古書店に持っていけば幾らか金になると、寅次郎を説き伏せて行ってもらう。

 その古書店のオヤジを、宇野重吉に師事した大滝秀治が演じている。

 PDVD_004.jpg

 んで、寅は1000円くらいのつもりだったのだろうが、オヤジがつけた値段はなんと7万円だった。

 寅は、人目を憚りつつ帰ると、札びらをさくらさんに見せる。

 さくら「お兄ちゃん、すぐ返してらっしゃい、だめよそんな、何したって良いけど、悪いことだけはしないで」

 さくらさんは寅をまるっきり子供扱いであった。
 寅は事情を説明する。宇野重吉は有名な絵描きで、さくらさんもその名前を知っていた。

 そこで寅が「博は工場やめちまえ。これからはあのジジイに絵を描かせて遊んで暮らそう」などと放言するあたり、何処に出しても恥ずかしくない人間のクズっぷりがよく表現されている。

 ところが、肝心の宇野重吉は既にとらやを引き払ってしまっていた。落胆する寅。

 その夜、満男のために宇野重吉が描いていた絵を見付け、興奮する寅だったが、騒いでいるうちに社長が誤って絵を破いてしまう。それが元で決定的ないさかいになってしまい、寅は自分から家を出て行く。

 PDVD_005.jpg

 しかし、その後で、さくらさんが画家のうちを訪ね、7万円を返すと言うのはちょっといい人過ぎるよなぁ。その上、団子のお土産まで渡しちゃうのだから。

 PDVD_006.jpg

 そして舞台は兵庫県龍野市に移る。郷里である龍野へ自治体から招かれて向かっていた画家の車の前に、寅がふらふらと現れる。そんな偶然ねえよ。

 ちなみに画家に付き添う公務員(?)を、宇野重吉の息子の寺尾聰が演じている。

 とにかく二人は意気投合、寅はあつかましくも画家に同行して市長たちからの歓待を受ける。そこで知り合うのが芸者のぼたんで、太地喜和子が素晴らしい演技を見せている。

 PDVD_007.jpg

 どんちゃん騒ぎの翌日、画家の代わりに市内観光へ出た寅だったが、睡魔に負けて、やがてみんなで一緒に昼寝をする。

 PDVD_008.jpg

 宇野重吉は、かつての恋人である岡田嘉子(って、別に実際に恋人だったわけじゃない、そういう役である)と久しぶりに再会する。

 映画以上に波乱の半生を送ってきた岡田の「人生に後悔はつきものなんじゃないかしら。ああすりゃ良かったなぁと言う後悔と、どうしてあんなことしてしまったんだろうと言うも後悔……」と言う台詞は、シリーズ中でも特に印象に残る。

 ちなみに岡田嘉子の家のお手伝いさんを、7作目のマドンナ、榊原るみが演じている。

 寅と画家はようやく東京へ帰る。

 PDVD_009.jpg

 連日の芸者遊びですっかり腑抜けになった寅……ま、いつもと大して変わらないが、二言目には龍野での豪遊ぶりを話す、困った奴になっていたが、そこへぼたんが上京してくる。

 寅「ところでなんだ今日は」
 ぼたん「あらご挨拶わやぁ、あたしと所帯持つって約束したやないの」
 寅「あ、そうかーそのことコロッと忘れてたよ」

 寅のぼたんに対する感情は、いつもの一目惚れとは違い、リリーとの関係のように、もっと奥深い、友情に似た大人の恋愛のような感じだ。

 ただ、ぼたんは単に寅に会い東京へ来たのではなく、人に貸した200万円を取り立てると言う事務的な用件もあったのだが。

 PDVD_010.jpg

 電話では埒が明かないので、ぼたんはタコ社長と一緒にその相手に談判に行く。これが筋金入りの悪党で、のらりくらりと追及をかわし、金を返そうとしない。演じるのは佐野浅夫。

 PDVD_011.jpg

 ぼたんの苦境を見た寅が言い放つ台詞が泣ける。

 寅「ぼたんをひどい目に遭わせた男のところだ。野郎、二度と表歩けねえようにしてやる。裁判所が向こうの肩持つんだったら、俺が代わりにやっつけてやる。ぼたん、きっと仇を取ってやるからな、あばよ!」

 もっとも、直後にさくらさんに「行く先も聞かないで何処行くつもりだろう」とツッコミを入れられるのが、いかにも寅さんらしい。

 PDVD_012.jpg

 だが、そんな寅の心意気に対し、泣きながら、

 ぼたん「さくらさん、わたし幸せや。もう200万円なんか要らん。あたし生まれて初めてや、男の人のあんな気持ち知ったの……嬉しい……」

 と訴える姿が胸を打つ。

 その寅は、代わりに宇野重吉のところへ押しかけ、ぼたんのために絵を描いてくれと嘆願するが、宇野重吉は画家のポリシーとしてそういうことのために絵は描けないと拒絶する。寅は「二度とてめえの面なんか見たくねえや」と、タンカを切って出て行く。ひとり残った画家の丸めた背中が侘しい。

 PDVD_013.jpg

 ぼたんは龍野に帰る。夏になり、寅は再び龍野に行き、ぼたんに話しかけるが、ぼたんは物凄い形相で寅を自宅まで引っ張っていき、宇野重吉から送られたと言う牡丹の絵を披露する。

 そう、画家はああ言いながら、寅との友情のために絵を描いてくれたのだ。

 ぼたん「市長さんに見せたら、200万出すから譲ってくれって……けどあたしゆずらへん、1000万円積まれてもゆずらへん、一生モンのお宝にするんや!」

 やや鬼太郎っぽい髪型になりつつ、コーフンするぼたん。

 寅は、画家の厚意に感動し、ぼたんと一緒に遠くにいる画家に向かって礼をしようと騒ぐ……と言うところで幕。

 ●評価

 シナリオと言い、キャストと言い、やはり完璧に近い傑作。

 ★★★★★(5点/5点中)


関連記事
スポンサーサイト



コメント

寅さんと同じく血の気が多いキャラクターと言えばラストボスが凶悪な難易度を誇って躓く原因となるプレイモアのKOFシリーズの棒術使い「ビリー・カーン」ですね。

ビリー・カーンも出稼ぎに来た工場で仕事仲間の先輩と上司にパワハラ受けてカッとしてイザコザとなってボーナスステージの如く無双アクションで鉄パイプで全員を血の海に沈めて虐殺して工場の機能を麻痺させた所を親玉の「ギース・ハワード」に見られて怒られる所か逆に気に入られて用心棒になった犬ですからね。

KOFシリーズの棒術使い「ビリー・カーン」
http://game.snk-corp.co.jp/official/kof-xiv/characters/billy.php" target="_blank">http://game.snk-corp.co.jp/official/kof-xiv/characters/billy.php

ギース・ハワードから棒術の師匠を紹介して貰って全て習得した後にビリー・カーンは棒術の師匠を虐殺して今ではギース・ハワードの忠犬を務めてます。

ビリー・カーンには妹の「リリィ・カーン」が居て、星座と血液型は豊田真由子と同じ天秤座+A型でも、兄貴と違う点は兄が火属性に対して、妹は水属性の点で性格も優しいですが、棒術の才能の面は兄と互角です。

リリィ・カーン
https://www.bing.com/images/search?view=detailV2&" target="_blank">https://www.bing.com/images/search?view=detailV2& ;ccid=C94pjb4W&id=2854906BB6B4C539A67155B0FE1FFDEE8B19CB9B&thid=OIP.C94pjb4WAAx4Rln9DsQToQEsDI&q=%e3%83%aa%e3%83%aa%e3%82%a3%e3%83%bb%e3%82%ab%e3%83%bc%e3%83%b3&simid=608056251480607722&selectedIndex=19&ajaxhist=0

Re:「男はつらいよ」レビュー 第17作「寅次郎夕焼け小焼け」(1976年)(01/25)  

ちなみにリリィ・カーンの動画はこちらですが、誠実です。

https://www.youtube.com/watch?v=PAsTxtUWV6g" target="_blank">https://www.youtube.com/watch?v=PAsTxtUWV6g

Re[1]:「男はつらいよ」レビュー 第17作「寅次郎夕焼け小焼け」(1976年)(01/25)  

クッカリス様
コメントありがとうございます。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

zura1980

Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

最近のトラックバック

カテゴリー

カレンダー

11 | 2019/12 | 01
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

FC2カウンター