第25話「怪彗星ツイフォン」(1967年1月1日放送)
なんと元旦に放送されてるんだね、これ。
赤い彗星ツイフォンが(当社比3倍の速度で)地球に接近していた。一時は衝突するのではないかと危ぶまれていたが、ぎりぎりの軌道で通り過ぎることが判明し、安堵する科学特捜隊の面々。だが、彗星から発せられる宇宙線の影響で、水爆が爆発するかもしれないと言うことで、核保有国へ対処するよう通達が出される。
そんな折、イデが重要なことを思い出す。

イデ「そうだ、以前オホーツク海で廃棄処分になった旧型の水爆が6個紛失したと言う噂がありましたね?」
ハヤタ「海底200メートルの鉛の倉庫が破壊され、水爆が6個紛失した……」
イデ「起爆装置はそのままの筈だ。6個も一度に爆発してみろ、猛烈な放射能で地球上の生物はみんな死んでしまうぞ」
その後の推理で、水爆を怪獣が飲み込み、日本アルプスで眠っているのではないかと言うことになる。ハヤタ、イデ、アラシの三人は、水爆探知機を持ってビートルで日本アルプスへ飛ぶ。
市民が不安に怯えるうち、無事に彗星は地球を通過。だが、放射線の影響は通過後の短い時間にもっとも強くなるため、その間に水爆を処理しなければならないのだ。
ちなみにこの世界の日本は核兵器を所有している設定で、あまつさえ、2話では市街地で核ミサイルを発射すると言うムチャをやらかしている。その6個の水爆も、国防軍が所有していたものだろう。

今回は本格的な雪山のロケが敢行される。
で、土着の怪獣ギガスや、彗星から飛来したドラコ、そして水爆を飲み込んでいるレッドキング(二代目)がバトルロイヤルを繰り広げるのだ。
ドラコはレッドキングに倒され、ギガスはアラシたちに殺される。ハヤタはウルトラマンに変身し、レッドキングと戦う。
相手は水爆を飲み込んでいるので、いつものようにスペシウム光線を発射する訳には行かない。まず反重力ビームで宙に浮かせ、特殊光線で体の自由を奪ってから、

八つ裂き光輪で輪切りにし、水爆のある頭部をキャッチする。えげつない。
そして頭部を抱えて宇宙へ飛んで行き、宇宙空間で水爆を処理して事件解決、となる。
……のだが、ラストに、岩本博士から一枚の計算結果を渡されるムラマツ。
ムラマツ「3026年7月2日午前8時5分……なんですこれ?」
岩本「電子計算機がはじきだした。同じ彗星ツイフォンは今度は地球に衝突するんだ」 ムラマツ「しかし人類はその時、想像もつかないような優れた科学を持ち、ツイフォンの軌道も変えてしまうことが出来るだろうな。地球が自分の作った武器で自滅してしまわないためにもその時まで人類はもう少し賢くなっていなければ」
と、ラストにちょっとした文明批評めいた台詞を言わせるのだった。
間違っても
「どうせ私は生きてないからどうでもいい」などとは言わないのである。
第26~27話「怪獣殿下」(前後篇)(1967年1月8日、15日放送)
インファント島に棲息すると言われる古代怪獣ゴモラを「大阪万博」へ出展しようと日本の調査団が現地へ向かう。

怪獣殿下と言う仇名を持つ怪獣マニアの少年は、そのニュースを興奮して他の子供たちに話すが、子供たちはひたすら彼をバカにする。
子供「あれはね、大昔の動物の化石や、珍しい植物を採集しに行ってんの!」
殿下「いる、怪獣は絶対いる!」
子供「バカバカしい。シオシオのパー」
子供「いこ、いこ、怪獣なんているわけないじゃないか」
ここではみんな怪獣の存在を頭から否定しているのだが、これが第1話だったらともかく、さんざん怪獣が日本列島を暴れまくった挙句の26話の時点では、見当違いも甚だしい。ほぼ毎週出てるっての。
ちなみに「シオシオのパー」と言うのは、いにしえのギャグではなく、「怪獣ブースカ」のブースカ語のひとつで、当時流行っていたそうな。
んで、インファント島で、古代怪獣ゴモラが発見される。同行したアラシは早速ぶち殺そうとするが、調査チームの博士は是非生け捕りにして大阪まで運びたいと、ムチャを言い出す。そこで、舶来の特殊な麻酔弾を打ち込んで、ビートルで吊るして空輸することになる。
だが、大阪の近くでゴモラの麻酔が切れ、下に落っこちてしまう。

ゴモラは地中を潜ってあちこちに出没し、暴れ回る。まあ、元々インファント島でのんびり眠っていたゴモラを人間の功名心で勝手に連れてきたのが悪いんだけどね。
殿下の団地の近くにゴモラが現れる。ハヤタはウルトラマンになって戦うが、その最中に、変身用のベーダーカプセルが殿下の目の前に転がってくる。
ウルトラマン、変身後はベーターカプセルを秘密のポケットか何かに入れているのだろうか? 殿下がそれを持ち去ってしまったため、それ以降、ハヤタは変身できなくなる。

ゴモラは手強くて、なかなか倒すことが出来ない。遂には大阪城に近付き、綺麗さっぱり破壊してしまう。30分番組でこれだけ巨大で精巧な模型を出してしまう、当時の円谷プロは凄かった。

さしものゴモラも、太いおっぽを科特隊に焼ききられてしまい、パワーが半減する。最後は殿下がベーターカプセルをハヤタまで届けに来て、ハヤタはウルトラマンとなり、ゴモラの角をへし折る。

おっぽがあるものと思って背中を向けて振る姿や、不利を悟って地中に潜ろうと足掻く姿は、とても哀れで、涙を誘う。

それを見ていた殿下、走り寄って
「ウルトラマン、ゴモラを殺さないで!」とでも叫ぶのかと思いきや、
「勝った勝った」と、無邪気にウルトラマンに声援を送るのだった。
お前は怪獣マニアじゃなかったのか? 結局ゴモラはスペシウム光線でトドメを刺される。

一応最後にアラシたちが「気の毒だったなぁ」と申し訳程度に弁解しているが、最後にイデが「剥製にして万博に飾ってやろう」と無神経な台詞を吐くので台無しである。
第29話「人間標本5・6」(1967年1月22日放送)
ユニークな造型で有名な「ダダ」が登場するエピソード。
始まりも、バスの事故に遭ったムラマツが、気がつくと女性客がひとりいるだけで、他の乗客が誰一人としていないと言うミステリアスな雰囲気が濃厚だ。

ムラマツは女性を伴って近くの宇宙線研究所へ向かうが、そこはダダと言う不気味な宇宙人によって占拠されていた。彼らは特殊な光線を所員に浴びせて小さくして、人間の標本にしていた。
もっとも、彼らは本国(星)から派遣された下っ端で、通信機で上司のダダから厳しく命令される。
ダダ上司「ダダ271号、任務を忠実に遂行せよ」
ダダ「はっ、所員のうち4体を標本として採取しました」
ダダ上司「指示した標本は6体だ。我々の星では標本を急いでおる。ダダ時間222以内に標本を完成せよ」
ダダは既に確保した標本4体を見る。それはちっちゃくなった所員たちを透明なチューブに入れたもので、なかなかショッキングな映像である。で、残る5と6のチューブは空である。
で、そこへムラマツと女性(所員の一人の恋人)がやってきて、彼らが標本5と6としてダダに狙われると言う展開。
以前からこのタイトルの「5・6」が気になって夜もぐっすり寝ていたのだが、今回初めて作品を実際に見て、その謎が解けた。ガッテンガッテンガッテン!
色んなタイプのダダと、ムラマツたちとの追いかけっこが描かれる。

ダダのケツ。……セクシーだ(変態かお前は)
ムラマツから連絡を受けたハヤタは、ウルトラマンになって飛んでくる。

いつもながら大人気ないウルトラマン、小さなダダをプチッと潰すが、嘘である。
この直後、自分も人間サイズになっている。セブンは良く小さくなるが、ウルトラマンが小さくなるのはちょっと珍しいのではないだろうか。
最後は飛んで逃げようとするダダをスペシウム光線で殺して終了。