第11話「裏切りの戦場ヶ原」(1974年12月16日)
いざ始めてみると、「マッハバロン」ってあんまり面白くないことに気付いた(オイオイ)。
いや、面白いんだけど、「レッドバロン」に比べるとツッコミどころが少ないんだよね。なにより、愛がなかなか私服姿になってくれないので、レビューを書く意欲が湧かないのだ。
で、5話から10話まで景気良くすっ飛ばし、第11話である。
爽やかな秋空の下、日光のファミテック(ホテル)へ休暇で遊びに来ている陽、愛、健一、花倉刑事。

和気藹々とバーベキューを楽しむ4人。ほのぼの。

久々に私服をまとって登場の愛。ただ、このセーターは、彼女の秘密兵器の威力を半減させている。
大きく胸を反らせて息を吸い込むポーズをしてもこの(どの?)通り。
と、ホテルの庭にずぶ濡れの作業服を来た男がよろよろと入ってくる。
男はそのまま息絶えるが、その手には赤い鉱石が握られていた。
陽はその鉱石を持ってひとりでKSSへ戻り、村野博士に見せる。
陽の睨んだとおり、それはバロニウム鉱石であった。
村野「日光にもバロニウム鉱脈があるらしい」
岩井「もし仮にロボット帝国がこれを掘り当てたとすれば……」
村野「奴らのことだ、バロニウムを使って、マッハバロンクラスのロボットの大量生産に入る」
言うまでもないが、マッハバロンは、バロニウム超合金素材で作られているのだ。

岩井と譲司がKSSバードで日光周辺を探索していると、両手に巨大なドリルを持つシュミットGと言う敵ロボットが現れる。
陽はすぐさまマッハバロンで出撃し、シュミットGと戦う。
陽が、村野の指示でメリコンパンチを使って攻撃すると、シュミットGの機体に大きな傷が付く。
シュミットGはすぐに退却する。

ララーシュタイン「たわけ、バロニウムがそう簡単に傷付く筈がない。お前たちはまだバロニウムを作り出していないのだ。よし、最後の手段だ、トリプル作戦で行け!」
スーカン「トリプル作戦?」
空軍参謀スーカンと海軍参謀ゲラーに作戦の指示をするララーシュタイン。
それは、愛と健一を誘拐し、二人の身柄と村野を交換し、村野にパロニウム合金を作らせようと言うものだった。

ここでは、それを説明するのに漫画のようなイラストが使われている。

愛たちは、そのままファミテックに残っていた。
高いびきをかく花倉刑事をよそに、姉と「ダルマ落とし」をして遊ぶ健一。
「ダルマ落とし」……、なんか懐かしくて涙が出る。
しかし、ロボット帝国の兵士たちが襲ってきて、愛と健一を拉致してしまう。
予定通り、ロボット帝国は次に二人と村野博士の身柄交換を要求してくる。

村野はその取引に応じることにして、指定された戦場ヶ原付近の湖畔で、陽たちに別れを告げる。
村野「諸君、ここでお別れだ。譲司、私を戦場ヶ原まで運んでくれ」
岩井以下、全員反対するが、村野の決意は固い。
村野「私が敵陣に潜り込むのは二人の救出だけではなく、バロニウム鉱山の所在地を突き止めるためです。良く聞いてくれ、私はどんな脅迫にあおうとも、敵に負けたり、魂を売ったりしない。ガンさん、後は頼んだよ」
村野は岩井たちひとりひとりに親しく言葉をかける。これが最後の別れになるかもしれないのだ。

最後に、村野は陽に「君に頼みがあるんだ。私が死んだら超合金バロニウムで作った棺に入れてくれ。そしてマッハコレダーで火葬にして欲しい」と、謎めいた使命を託す。

陽「博士!」
村野「私は戦う為に捕虜になるんだ。それを忘れるな!」
戦場ヶ原に村野が行くと、約束を違わず、スーカンとゲラーが愛と健一を連れてやって来る。
人質交換は無事に済んだ……、ように見えたが、

その愛と健一は、二人に似せたアンドロイドだったのだ。
もっとも、二人は岩井たちに押し倒されるとすぐ動かなくなる。

ここで花倉が、愛のセーターをがばっとめくるのがちょっとドキッとするシーン。
無論、その下にはメカが埋め込まれているのだ。
村野は敵基地へ連れて行かれるが、超合金バロニウムの製造は断固として拒否する。だが、

ゲラー「あれでもか?」
村野「愛、健一君!」
愛「脅迫に負けないで下さい。私たちには構わないで」
村野「卑怯な……」
村野はあっさりとバロニウムを作る為に必要な方程式を彼らに教える。
そしてバロニウムを使ってシュミットGの後継機・シュミットG2が建造される。
陽はマッハバロンで、シュミットG2と戦う。

もう一度メリコンパンチで攻撃すると、またしても傷が付く。
陽(超合金バロニウムはまだ完成していない。やはり村野博士は敵に魂を売ってはいない)
陽はそう確信すると、シュミットG2に猛攻を加える。
必殺マッハコレダーでその頭部を吹き飛ばし、勝負あった……かに思えたが、

破壊された頭部の下から、新しい顔がせり上がって来る。
これこそ、G2の本当の姿だったのだ。
陽はもう一度メリコンパンチをぶちかますが、今度は全く傷が付かず、弾き返されてしまう。
陽(まさか、村野博士が敵に魂を売る筈がない。そんな筈はない! 超合金ではない、そうでしょう博士?) 心の中で繰り返し叫びながら、G2の攻撃に耐える陽。

だが、陽の脳裏には村野の不気味な笑みが浮かび上がり、その確信が揺らいで行く。
陽(村野博士は俺たちを裏切ったのだろうか……)

陽(そんな筈はない。そんな筈は……)
動揺する陽の心理状態と合わせて、マッハバロンの苦戦する姿が漫画のコマ割のように映し出される。
今見ても全く色褪せない、素晴らしいセンスである。
そして、巨大なドリルでガリガリ削られるマッハバロンの姿を映しつつ、12話へ続くのだった。